Leatherman Style PS
2011.8.15更新
 レザーマン(Leatherman)の『スタイル PS』(Style PS)の紹介です。
 このスタイル PSは、レザーマンツールの中で、ペンチ(プライヤー)を搭載した最軽量のマルチツールです。2011年に発売。 2010年6月に発売されたスタイルCSの姉妹品で、メインツールのハサミの代わりにプライヤーを、ミニナイフの代わりにハサミを搭載しています。
<テクニカル・データ>
レザーマン スタイル PS
( )     項目  Style PS
(A)  収納時の全長  75.6mm
(B)  ハンドルの幅  19.2mm
(C)  収納時の幅(突起部を含む)  20.0mm
(D)  ハンドルの厚さ  8.1mm
(E)  収納時の厚さ(突起部含む)  10.5mm
( ) 基幹部品・プライヤーの材質 SUS 420J2
( ) ハンドルの材質(一部)  ガラス繊維強化樹脂
( ) 重さ  44.5g
( ) 搭載ツール数  9種類
( ) 分解可能なパーツ数  調査中
( ) 構成パーツ数  調査中
付属:多言語取扱説明書(すべて実測値です)

もくじ


装備の軽量化に際して -日常から登山まで-

 これはこれでアリです。
 実は、最強のコンパクトツールだと思っていたスクォートPS4(紛失)よりも、11g以上軽い44.5g! ピンセットを外すと、さらに0.5g軽くなります。プライヤー(ペンチ)とハサミが搭載されていて、わずか44gとは、まさにウルトラライトですね。
 ただし、スクォート・シリーズと比べて、大幅に機能を省かれていて、特にドライバーの種類が最小限に留められています。 私としては、剥がれたソールの応急処置に針金を使うこともあり、ペグ抜きや棘抜きとしても機能するプライヤーは必須。ガイラインの切断やパッケージの開封に、ハサミも欠かせない。 逆にドライバー類は、フィールドで修理する道具にネジがないため、必要ではありません。眼鏡のツルだけ?
 こう考えると、スタイルPSでも十分だと思います。こんな携帯ツールに限らずとも端的な例はいくらでもありますが、ウルトラライトなギアとは、概してクセがあるもの。 省機能化でリスクを背負わないか、よく考えて選びましょう。ちなみに、大きさではスクォート・シリーズのほうがコンパクトです。 レザーマンさん、カナビナと栓抜きは要らないから、もうちょっと軽くなりませんかねぇ。
参考重量(実測値)
 ビクトリノックス クラシック  21g
 レザーマン スタイル  23g
 レザーマン スタイルPS  44g
 レザーマン スクォートPS4  56g


『スタイル』というツールについて

 「style」とは、(上品な・流行の・個性的なというニュアンスを含んだ)『姿』『様式』といった意味の英語。
 スクォート・シリーズがレザーマンの「小型化に対する挑戦」だとすると、スタイルPSは「軽量化に対する挑戦」の血統です。 レザーマン・ツールは、歴史的プロダクトウェーブをひとつの完成形と考えることができます。 そして、重いと言われたWaveから、軽量化へ踏み出したのがSkeletool CXです。スタイル・シリーズの原点はここにあるといえます。 それから省機能・軽量化を突き詰めたのがFreeStyle CX。さらに小型化したのがStyle CSとStyle PSです。
 あと、実は忘れてほしくないのが、値段です。だいたいのネットショップで、実勢価格は3,000円を切っています。 どのあたりが値段の決め手なのか、よく分かりませんが、スクォートPS4の実勢価格が4,500円程度だと考えると、お買い得感がありますよね。

<レザーマン スタイルPSが誕生するまでの軌跡と寸評>2010年7月時点
 シリーズ
 /モデル
 本サイトの寸評  発売年
 ニューウェーブ  現レザーマン フルサイズのマルチツールの原点であり完成形。  1998年
 スケルツール  カーボン&タングステン採用と肉抜き加工まで施した軽量化の意欲作。  2008年
 フリースタイル  プライヤーとナイフだけを搭載したフルサイズ最軽量モデル。  2009年
 スタイルCS  スケルツールを小型して、メインツールをタウンユース向けのハサミに。 2010年
 スタイルPS  スタイルCSの姉妹品。スケルツールに近い外見になった。  2011年

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スタイルPSとスタイルCSの比較

 スタイルPSは、これより一年前に発売されたスタイルCSの姉妹品と銘打っています。スタイルCSのメインツールをプライヤーに、ナイフをハサミに変更しています。 それ以外のツールや構成パーツは全く同じで、流用です。デザイン的にはスケルツールに近いものに仕上がっています。
<スタイルPSの主な特徴>
 ・ハンドルデザインは、スケルツールやスタイル・シリーズを踏襲
 ・メインツールに、スクォート・シリーズで実績のあるミニプライヤーを採用
 ・ハンドル素材の一部に、費用対効果の大きいガラス繊維強化樹脂を採用
 ・ちょっとしたロープやベルトにも装着しやすい大型カナビナを搭載
 ・日本の街中でも携帯しやすいナイフレス構成

 何といっても特徴的なハンドルデザインです。スケルツールの血統を受け継ぐブラック&サテンシルバーのカラーリングです。 先ほど「街中で携帯しやすいナイフレス構成」と表現しましたが、ツール構成はともかくデザインは、アウトドアや工具箱で活躍しやすいように思えます。
 また完全に左右非対称デザインで、この独特のカーブ形状は、プライヤーを開いたときに掌にフィットするように考慮されています。 そして忘れてはいけないのが肉抜き加工。このツールの機能には直接的に関係しないかもしれませんが、ツールを開かないと気付けないフレームの内側にも穴が開いていて、 ここまでやるか?と笑ってしまうくらいです。合計で34ヶ所も肉抜きの穴が空いています。





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ツールは、ハンドルを閉じたまま出せる

 この機能も、ウェーブから続く血統の証です。プライヤー以外のツールは、すべてハンドルを閉じたまま取り出すことができます。 レザーマンにはウェーブ系とは別に「スーパーツール」と「フューズ」、「キック」といったスーパーツール系のマルチツールが存在します。 本来、レザーマンの始まりは「PST」と「クランチ」で、これらはスーパーツール系と同じく、一度ハンドルを開かなければツールを取り出せない構造でした。 そこにウェーブが発売されて大ヒットしたため、今ではほとんどのモデルがハンドルを閉じたままツールを取り出せるデザインになっています。
 アメリカのレザーマンHPで、わざわざ『Outside-accessible Tools』と機能性が紹介されているのには、それなりのワケがあるのです。 構造のシンプルさと生産コストでは、ハンドルがコの字で済むスーパーツール系が優れますが、やはり実の機能性ではW型のハンドル形状のウェーブ系のほうが優れます。 スタイルPSのツール数は少ないですが、ハサミは多用されるツールなので、外からアクセスできることは利点といえます。

プライヤー:小さいが、実用的なスプリング機構

 もう廃版になってしまったスクォートP4から採用されている、ミニプライヤーです。ちなみにレザーマンのプライヤーは、大まかにいって4種類しかありません。 スクォートP4・PS4の利点も欠点もそのまま継承されています。利点としては、まず小型で取り回しに優れます。 ラジオペンチのような先端の細さはありませんが、細かい作業にも十分に使えます。そして、スプリング機構も健在です。 普通の工具のペンチと違って、コイルバネではなく板バネを採用しています。 コイルバネでは性急で軽い反発力になりがち。板バネを採用することで比較的ゆっくりと確かな反発力を実現しています。 単にガッチリ掴むだけならよいのですが、プライヤーを閉じたり開いたりを繰り返す作業、例えば針金を曲げるときなど、物凄く作業しやすいです。

 このスプリング機構、よほどの人気だったのか、ついにレギュラーサイズのマルチツールに採用されたようです。(2011年9月23日確認) その名も「サイドキック」と「ウィングマン」。日本での発売はまだのようですね。

参考・引用

 ・レザーマンツール・ジャパン 取扱説明書(2011年購入)
 ・レザーマンツール・ジャパン オフィシャルウェブサイト
  http://www.leatherman-japan.com/
 ・レザーマン オフィシャルウェブサイト
  http://www.leatherman.com/

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