レザーマン(Leatherman)の『
スタイル PS』(Style PS)の紹介です。
この
スタイル PSは、レザーマンツールの中で、ペンチ(プライヤー)を搭載した最軽量のマルチツールです。2011年に発売。
2010年6月に発売されたスタイルCSの姉妹品で、メインツールのハサミの代わりにプライヤーを、ミニナイフの代わりにハサミを搭載しています。
<テクニカル・データ>
レザーマン スタイル PS
( ) | 項目 | Style PS |
(A) | 収納時の全長 | 75.6mm |
(B) | ハンドルの幅 | 19.2mm |
(C) | 収納時の幅(突起部を含む) | 20.0mm |
(D) | ハンドルの厚さ | 8.1mm |
(E) | 収納時の厚さ(突起部含む) | 10.5mm |
( ) | 基幹部品・プライヤーの材質 | SUS 420J2 |
( ) | ハンドルの材質(一部) | ガラス繊維強化樹脂 |
( ) | 重さ | 44.5g |
( ) | 搭載ツール数 | 9種類 |
( ) | 分解可能なパーツ数 | 調査中 |
( ) | 構成パーツ数 | 調査中 |
付属:多言語取扱説明書(すべて実測値です)
もくじ
装備の軽量化に際して -日常から登山まで-
これはこれでアリです。
実は、最強のコンパクトツールだと思っていた
スクォートPS4(紛失)よりも、
11g以上軽い44.5g!
ピンセットを外すと、さらに0.5g軽くなります。プライヤー(ペンチ)とハサミが搭載されていて、わずか44gとは、まさに
ウルトラライトですね。
ただし、スクォート・シリーズと比べて、大幅に機能を省かれていて、特に
ドライバーの種類が最小限に留められています。
私としては、剥がれたソールの応急処置に針金を使うこともあり、ペグ抜きや棘抜きとしても機能する
プライヤーは必須。ガイラインの切断やパッケージの開封に、
ハサミも欠かせない。
逆にドライバー類は、
フィールドで修理する道具にネジがないため、必要ではありません。眼鏡のツルだけ?
こう考えると、スタイルPSでも十分だと思います。こんな携帯ツールに限らずとも端的な例はいくらでもありますが、ウルトラライトなギアとは、概してクセがあるもの。
省機能化でリスクを背負わないか、よく考えて選びましょう。ちなみに、大きさではスクォート・シリーズのほうがコンパクトです。
レザーマンさん、カナビナと栓抜きは要らないから、もうちょっと軽くなりませんかねぇ。
参考重量(実測値)
ビクトリノックス クラシック 21g
レザーマン スタイル 23g
レザーマン スタイルPS 44g
レザーマン スクォートPS4 56g
『スタイル』というツールについて
「
style」とは、(上品な・流行の・個性的なというニュアンスを含んだ)『姿』『様式』といった意味の英語。
スクォート・シリーズがレザーマンの「
小型化に対する挑戦」だとすると、
スタイルPSは「
軽量化に対する挑戦」の血統です。
レザーマン・ツールは、歴史的プロダクト
ウェーブをひとつの完成形と考えることができます。
そして、
重いと言われたWaveから、軽量化へ踏み出したのが
Skeletool CXです。スタイル・シリーズの原点はここにあるといえます。
それから省機能・軽量化を突き詰めたのが
FreeStyle CX。さらに小型化したのが
Style CSとStyle PSです。
あと、実は忘れてほしくないのが、
値段です。だいたいのネットショップで、実勢価格は3,000円を切っています。
どのあたりが値段の決め手なのか、よく分かりませんが、スクォートPS4の実勢価格が4,500円程度だと考えると、お買い得感がありますよね。
<レザーマン スタイルPSが誕生するまでの軌跡と寸評>2010年7月時点
シリーズ /モデル | 本サイトの寸評 | 発売年 |
ニューウェーブ | 現レザーマン フルサイズのマルチツールの原点であり完成形。 | 1998年 |
スケルツール | カーボン&タングステン採用と肉抜き加工まで施した軽量化の意欲作。 | 2008年 |
フリースタイル | プライヤーとナイフだけを搭載したフルサイズ最軽量モデル。 | 2009年 |
スタイルCS | スケルツールを小型して、メインツールをタウンユース向けのハサミに。 | 2010年 |
スタイルPS | スタイルCSの姉妹品。スケルツールに近い外見になった。 | 2011年 |
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スタイルPSとスタイルCSの比較
スタイルPSは、これより一年前に発売されたスタイルCSの姉妹品と銘打っています。スタイルCSのメインツールをプライヤーに、ナイフをハサミに変更しています。
それ以外のツールや
構成パーツは全く同じで、流用です。デザイン的にはスケルツールに近いものに仕上がっています。
<スタイルPSの主な特徴>
・ハンドルデザインは、スケルツールやスタイル・シリーズを踏襲
・メインツールに、スクォート・シリーズで実績のあるミニプライヤーを採用
・ハンドル素材の一部に、費用対効果の大きいガラス繊維強化樹脂を採用
・ちょっとしたロープやベルトにも装着しやすい大型カナビナを搭載
・日本の街中でも携帯しやすいナイフレス構成
何といっても特徴的なハンドルデザインです。スケルツールの血統を受け継ぐ
ブラック&サテンシルバーのカラーリングです。
先ほど「街中で携帯しやすいナイフレス構成」と表現しましたが、ツール構成はともかくデザインは、アウトドアや工具箱で活躍しやすいように思えます。
また完全に
左右非対称デザインで、この独特のカーブ形状は、プライヤーを開いたときに掌にフィットするように考慮されています。
そして忘れてはいけないのが
肉抜き加工。このツールの機能には直接的に関係しないかもしれませんが、ツールを開かないと気付けないフレームの内側にも穴が開いていて、
ここまでやるか?と笑ってしまうくらいです。合計で
34ヶ所も肉抜きの穴が空いています。
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この
機能も、ウェーブから続く血統の証です。プライヤー以外のツールは、すべて
ハンドルを閉じたまま取り出すことができます。
レザーマンにはウェーブ系とは別に「スーパーツール」と「フューズ」、「キック」といった
スーパーツール系のマルチツールが存在します。
本来、レザーマンの始まりは「PST」と「クランチ」で、これらはスーパーツール系と同じく、一度ハンドルを開かなければツールを取り出せない構造でした。
そこにウェーブが発売されて大ヒットしたため、今ではほとんどのモデルがハンドルを閉じたままツールを取り出せるデザインになっています。
アメリカのレザーマンHPで、わざわざ『
Outside-accessible Tools』と機能性が紹介されているのには、それなりのワケがあるのです。
構造のシンプルさと生産コストでは、ハンドルが
コの字で済むスーパーツール系が優れますが、やはり実の機能性ではW型のハンドル形状のウェーブ系のほうが優れます。
スタイルPSのツール数は少ないですが、ハサミは多用されるツールなので、外からアクセスできることは利点といえます。
プライヤー:小さいが、実用的なスプリング機構
もう廃版になってしまったスクォートP4から採用されている、
ミニプライヤーです。ちなみにレザーマンのプライヤーは、大まかにいって4種類しかありません。
スクォートP4・PS4の利点も欠点もそのまま継承されています。利点としては、まず小型で取り回しに優れます。
ラジオペンチのような先端の細さはありませんが、
細かい作業にも十分に使えます。そして、
スプリング機構も健在です。
普通の工具のペンチと違って、コイルバネではなく
板バネを採用しています。
コイルバネでは性急で軽い反発力になりがち。板バネを採用することで
比較的ゆっくりと確かな反発力を実現しています。
単にガッチリ掴むだけならよいのですが、プライヤーを閉じたり開いたりを繰り返す作業、
例えば針金を曲げるときなど、物凄く作業しやすいです。
このスプリング機構、よほどの人気だったのか、ついにレギュラーサイズのマルチツールに採用されたようです。(2011年9月23日確認)
その名も「
サイドキック」と「
ウィングマン」。日本での発売はまだのようですね。
参考・引用
・レザーマンツール・ジャパン 取扱説明書(2011年購入)
・レザーマンツール・ジャパン オフィシャルウェブサイト
http://www.leatherman-japan.com/
・レザーマン オフィシャルウェブサイト
http://www.leatherman.com/
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