Locus Gear / Khufu CTF3 Cuben Fiber Shelter
2015.9.25更新
 Locus Gear(ローカスギア)Khufu CTF3 Cuben Fiber Shelterクフ・キューベン)の紹介です。
 Khufu CTF3は、メイン素材にCubic社のキューベンファイバー(Cuben Fiber)を採用した、公称重量290gの超軽量なソロ用ピラミッド型モノポール式フロアレスシェルターです。 公称利用人数は1人で、現行の一人用〜二人用のフロアレスシェルターでは抜きん出て軽い製品です。

<テクニカル・データ>
ローカスギア クフ・CTF3
項 目内 容
メイン素材Cubic社CTF3 キューベンファイバー 29.4g/m2
タイプ非自立式フロアレス
形状ピラミッド型 / 四角錐
フロア形状 / 面積長方形・270cm × 160cm・4.32u
出入口長辺側1ヶ所・ストレート縦型・フルジップ
必要ポール数長さ130cm以上 × 1ヶ所 / 別途用意が必要
 ガイアウト ループ数 底面9ヶ所・パネル面4ヶ所・リッジライン4ヶ所
宿泊人数公称:1人用、最大:2人就眠可
最大重量公称290g
最小重量後述
付属品各種ガイライン・自在器具・スタッフバッグ・補修用生地




もくじ


本当に290g?

 メーカー公称では、290gですが、これは謙虚過ぎる表現でしょう。 確かに、送られてきたクフ・キューベンを、スタッフバッグごとそのまま測ったら299gでしたが、それは付属品をすべて含めた重さです。

ローカスギア クフ・CTF3の付属品一覧
用 途内 容数 量重 量
ガイラインダイニーマ リフレクティブ 2mm径 165cm×4本 16.2g
フロア固定用ダイニーマ リフレクティブ 2mm径38cm×9本8.6g
ジッパータブ用ダイニーマ リフレクティブ 2mm径19cm×4本2.0g
ガイライン衝撃吸収用
・出入口留め用
ショックコード・コードストッパーSL15cm×9本
×2個
7.5g
換気口調節用 ダイニーマ 1.5mm径・ミニラインロック 90cm×1本1.8g
 フロアガイライン調節用 Lineloc3×9個12.0g
スタッフバッグCTF3 Stuff Sack×1個 8.3g
シェルター本体Khufu CTF3 Cuben Fiber Shelter×1つ 243g 

 …と削っていくと、なんと243gになります。公称重量ですら超軽量なのに、最低重量はさらに47gも軽いのです。 この重さだと、一般的なシルナイロン製の小型タープと比べても競争力がありますし、当然ながらタープよりも重量あたりの居住性は圧倒的に優れます。 先行するフロアレスシェルターでは、Gossamer Gearのスピンシェルターが255g、より一般的なゴーライトのシャングリラ1が436g、 ブラックダイヤモンドのベータライトが530gなので、超軽量級の製品といえそうです。 というか、リペア対応も安心の日本メーカーなので、フロアレスシェルターのベストバイと言い切っておきます。

 ガチで勝負できる製品が、Mountain Laurel Designs(MLD)のSOLOMIDとDUOMIDのシリーズでしょう。LocusGearのKhufuシリーズと、酷似したスタイルをしています。 MLDのシリーズにもキューベンファイバー製があり、さらに生地のグレード(厚み)が18.6g/uか25.4g/uを選べます。 Khufu CTF3のキューベンファイバーは29.4g/uグレードなので、はっきりいって軽さでは勝負になりません。完敗です。 SOLOMIDの最低重量は、驚愕の163g(18.6g/u)198g(25.4g/u)、DUOMIDでも284g(25.4g/u)と予想されます。
(SOLOMIDは、MLD公称値。DUOMIDは、SOLOMIDの重量と最低重量の差から計算した結果です。)
 ただし、ローカスギアの名誉のために断っておきますが、そもそもKhufu CTF3は、DUOMIDと同等の大きさ・収容人数があり、 かつMLDより頑丈な29.4g/uグレードのキューベンファイバーを採用して、DUOMIDより軽く仕上げているのです。 もちろんSOLOMIDのほうが軽いのは事実なので、あくまで軽量を取るか、一定の頑丈さを選ぶかは、ユーザー次第ということになります。

 メーカーであるLocus Gearも、もう少し最低重量をアピールしてもよいのではないでしょうか。290gと243gでは購入意欲が違ってきますよね。 まぁガイラインの一部をシェルターに含めるのがULギアの定説かもしれませんけど、ペグと同じくガイラインは、人によって選択が異なると思うので、私としては別物として計算しています。 まぁ本体+スタッフバッグで290gだと思っていたので、付属の小物を外しては秤に乗せるのが楽しかったです。 結果的には、シームグリップでシームシーリングして重量は268gになりました。

↑ このページのトップ ↑

Khufu CTF3のディテール



 Khufu CTF3は、ユーザーに道具の限界と臨機応変さが求められるウルトラライトに分類されるシェルターです。 メイン素材であるキューベンファイバーも非常に頑丈な生地ではありますが、摩耗や穴あき、過剰なテンションには細心の注意を払う必要があります。 …とはいっても、負荷がかかる要所には相応の補強が施されているので、無茶な扱いをしない限り大丈夫でしょう。

 基本的にシェルターの縁や縫い目は、三重折りで縫製されていて、特にメインの縫い目であるリッジラインなどは、さらにダブルステッチになっています。 また、パネル面のガイアウト部分は、大きなダイニーマ トリプルリップストップで縁取られていて、ガイアウトに掛かる張力を分散しています。 フロア側のガイアウト部分は、適した形のターポリンで補強されています。 フロア部分がターポリンなのは、降雨時の泥はねに対するプロテクションを鑑みた採用と思われます。 このように、適材適所の素材採用が徹底されている優れた設計と感じます。

 使い勝手に繋がる構造にも注目です。メーカーによって分かれるのが、出入口の構造です。 まず開け閉めがジッパーであること。当たり前と思われるかもしれませんが、ここを「ベルクロだけ」とか「生地の重ね合わせだけ」としている製品も多いのです。 ジッパーで完全に閉められることは、設営のときに大きなアドバンテージとなります。 またジッパーを使ったときにダブルスライダーを採用している点はどのメーカーでも同じですが、ポイントはストレート形状である点です。 自立式テントやメッシュシェルターでは、U字カーブを描いたジッパーが多数ですが、開閉の硬さや引っ掛かり、生地の巻き込みトラブルが付きまといます。 この手のトラブルはストレート形状には無縁であり、悪天候時に素早く開閉できるため、出入りのときにシェルターの中を濡らしにくくなります。

 あえて不満点を挙げるなら、キューベンファイバーとジッパーの縫い付け部分は、ダブルステッチで処理してほしかったです。 ジッパーの下はほぼ確実にペグダウンするためテンションも掛かりますし、人が出入りするために摩耗とも無縁ではないと思うからです。 あと、フラップの付け根とは反対側の、ジッパーと生地の境い目に、落ちた水滴がジッパー側へ流れないようにガードとなる壁のような構造があるとよかったと思います。 これはレインウェアのダブルフラップに採用される構造なので、意味はあると思うのですが。最後に、リッジライン上の補助ガイアウト部分は、補強しなくていいのですか?



↑ このページのトップ ↑

本当に一人用?

 確かに、メーカーHPでは一人用と明記されています。でもよく考えて見ると、ピラミッド型モノポールシェルターで一人用って、ちょっと変な話です。
 なぜなら、シェルターの中央にポールが立つ線対称/点対称のデザインなので、ポールの手前と奥で居住面積は同じはずです。 つまり、どう考えても二人で寝ることができます。ただし出入口は長辺側にあるので、寝てるときに外へ出たくなったら奥の人は手前の人を跨がなければなりませんけどね。


 これを室内の広さから一人用といってしまうと、BetalightやKiloなんて立場がないですね…。ローカスギアがKhufuを一人用としているのは、出入口の向きが長辺側にあるからだと思われます。 ペアの睡眠を邪魔せずに外へアクセスできるから、『2人用といえる』とみなしているのかもしれません。ただ、これだけ室内が広いと、工夫で何とかできそうです。 できるだけシュラフをシェルターの奥へ置くようにして、頭周りを開けておけば、最後にペアを跨ぐのも最小限で済みますから。しかし増々、モンベルは立場がありませんね。
 なお経験上は、荒天時でもない単純な室内の居住性を考えた場合、「座っても頭を打たない場所の広さ」が重要だと思います。 いくら室内環境が広くても、高さが低くては意味がないということです。下の図が正しいなら、寝るときだけ潜り込むことになるTerraNovaのLaserUltra1は、居住性は犠牲にしていると思います。 逆にモンベルのテントは、座ったまま動ける範囲が広いという意味では居住性は高いと言えます。もちろん、寝っ転がって本を読むなら、これらの居住性は否定しませんが、やはりユーザーの考え方次第でしょう。 ちなみに下の左から3番目の図は、座高85cm程度を想定しています。

 感覚の上では、Khufuも居住性が高いと思います。 亜高山帯〜高山帯の夏季テント場にて使ってみて、合計で20泊以上になります。そのうちの1回は8泊9日の縦走を含みます。そこで感じたのは、1人で使うと馬鹿みたいに広いことです。 五色ヶ原では結構な土砂降りになり、フロア面に水が流れる事態も生じました。雲ノ平では洗濯のために下も脱いだりもしました。 しかし、着替え・荷物整理・喫煙・調理・食事・行程確認などなど、登山生活のすべてが、シェルターの中で特に問題なく行えるのです。 タープ&シュラフカバーやツェルトを使った縦走では、求めるべくもなかった居住性の高さを普通に備えています。


↑ このページのトップ ↑

変形ピラミッド型のデザインが、とにかくカッコいい

 Locus Gearのクフ・シリーズは、裁断にカテナリーカットを採用しています。 カテナリーラインの説明は省きますが、要は生地自体の重みや雨で、生地のたわむことを折り込み済みのデザインなのです。 このデザインが利いてくるのは、雨や結露で幕体が濡れたとき、そして経年劣化の耐性です。 雨天時にガイラインの調節が少なく済むのは非常にありがたいです。またカテナリーラインの幕体は、縫い目への負荷が均一にかかるため、局所的な破損が起きにくいと考えられます。 橋やアーチ状の建造物にも採用される構造です。

 そして、このアーチが作り出す幕帯の張り姿の美しさは特筆もの。めちゃくちゃカッコいいです。 そこらそこんじょの自立式テントとは比べ物になりません。夜に中でライトを点けると、まるで闇に浮かぶオブジェのようです。 トイレに行く人に「キレイだね」なんて言われることもしばしば。友人は「見ているだけで酒が飲める」とか言ってました。 最近は少し変わったテントも見かけるようになりましたが、依然として多いのはクロスドーム型です。混雑したキャンプサイトで、このフロアレスシェルターは相当のインパクトがあります。

 実際に雷鳥沢キャンプ場で設営したときは、室堂方面から来たテント泊の方が「ずっと上から見えていたんだ。白い三角形だから、もしやと思って…」と、受付も済まさないうちから話が盛り上がったことがあります。



↑ このページのトップ ↑

設営・撤収が容易な形状

 フロアレスシェルターの利点は、設営と撤収が簡単なことも挙げられます。 テントのフライシートだけとも言えるシンプルな幕体構造で、しかもスリープやフックにポールを通す手間すらありません。ペグダウン後に中からポールを立ち上げるだけです。
 しかもクフ・シリーズはフロア形状が長方形なので、最適なペグダウンの位置が分かりやすいのです。 この最初のペグダウン位置がしっかりと決まっていないと、フロアレスシェルターの張り姿はイビツなものになり、耐候性・居住性が大きく下がります。 この点はKhufu CTF3も同様なので、四隅を固定したときに、長方形になっているか確認しましょう。平行四辺形ではダメです。
 モノポール式なのも利点のひとつです。 フロアに対してポールの位置が厳密に決まっていて、立ち上げに際して別のガイラインを必要としません。 ツェルトやタープでは、一部をペグダウンしてポールで立ち上げても、そのままではすぐに倒れてしまいます。 必ず、ポール自体にガイラインを設けて、テンションをかける必要があります。 そして、そのガイラインを処理する間にポールが倒れたり…(泣)という事態が往々にして生じますが、こういった手間は全くありません。 ピラミッド型フロアレスシェルターは、ビビィサック単体と並ぶ設営の容易さを提供します。 この簡単さは、自立式シングルウォールテントからポールを通す手間を省いたものと表現できます。

↑ このページのトップ ↑

キューベンファイバー製だから?

 キューベンファイバー自体については、別ページで紹介します。ここでは、キューベンファイバーをシェルターにしたらどうなのか、という点について述べたいと思います。
 まず、何といっても超軽量です。まったく同じ縫製でも、シルナイロンの3分の2程度に仕上がります。 ローカスギアのクフ・シリーズには、キューベンファイバー製・シルナイロン製・タイベック製、eVent製の4つがラインナップされていて、公称重量から付属品を除いた予想重量ですが、そこそこ正確な値かと思います。

 製品種別  メイン素材  公称重量  付属品重量 本体重量
 Khufu CTF3  キューベンファイバー  公称290g  付属品47g 本体重量243g
Khufu Sil シルナイロン 公称400g付属品50g 予想の本体重量350g 
Khufu Tyvek タイベック 公称420g付属品51g予想の本体重量369g
Khufu eVent eVent 公称860g付属品55g予想の本体重量805g
 243÷350×100=69.4%(シルナイロン比)、243÷369×100=65.9%(タイベック比)

 ただ、価格は2倍近くになります。 国内外の大手テントメーカーが採用しにくいのは、やはり価格面がネックなのでしょう。 透湿性・通気性がないのでシングルウォールは厳しいでしょうが、ダブルウォールテントのフライシートに採用されたら面白いと思います。やもすると防水透湿性のシングルウォールより、軽くなったりして。

 次いで重要なポイントが、設営中に濡れて重くなっても、幕体の弛みが少ない点です。 これは濡れても伸縮しないダイニーマを基本に作られているためでしょう。シルナイロンのシェルターや生地が薄いツェルトでは、寝る前ないし夜中にガイラインの再調整が必要となります。 悪天候時には、誰でも外へ出たくないものです。ガイラインの調整の回数が減るだけでも、かなりありがたいと感じます。 同様に、生地が伸びないため、内側から結露を拭き取ることも断然やりやすいです。

 私がキューベンファイバーの利点として挙げたいのが、です。 そもそも上述のように、幕帯にテンションを掛けやすいため、ペグダウンやガイラインの数を増やせば大して問題にはならないと思いますが、風でバタついたときの音が少なく感じます。 いや、少ないという表現は端的ではない。耳障りな音ではないといったほうが正しいかもしれません。 シルナイロンなどの極薄で柔らかい生地だと、強風時には『パタパタ…』とやや高めの音がします。 それに対してキューベンファイバーは、『ダダダダ…』と低い音に感じます。 もちろん好みもあるでしょうが、低音より高音のほうが耳障りだと思うので、例え微々たる差でも就眠時にはありがたいものです。

 よく、中がスケスケでエロいとか、『ゴミ袋』とか揶揄されますが、それほど端的な表現とは思えません。 まぁ中に人が居ることは分かります。およそ、どんな体勢なのかもバレますが、細かい体型まで分かるほどではありません。 たぶん半透明の問題を挙げる人の多くが、ロールから広げたままの平らなキューベンファイバーは知っていても、シェルターにしたときの実態を知らないのではありませんか? 確かに、折り目やシワのないキューベンファイバーは、曇りガラス以下の半透明っぷりですが、シェルターにして細かい折り目ができると、中の様子は光の乱反射で見えにくくなります。 これは、外も中も明るい昼間でも、夜にKhufu CTF3の中でヘッドライトを点けたときも、就眠時に外から照らされたときも、雨でズブ濡れでも、大差ありません。 幕体に体を押し付けるようにしないで、シェルターの中央付近で済ますなら、着替えも可能だと思います。それでも女性には抵抗があるかもしれませんけど。

↑ このページのトップ ↑

肝心のポールをどうする?

 クフ・キューベンには、ポールが付属しません。やはりトレッキングポールで代用するのが普通でしょう。 今までトレッキングポールを使っていなかった人には、1本のポールで済むことはありがたいと思います。 ただし問題は長さ。どんなに地面にぴったりと付けて設営しても、実測で125cmは必要です。 地面へ固定するときに、ペグが利かない場所では石で代用します。これを考えて、135cm±10cmの調節幅は欲しいところです。 しかし、一般にトレッキングポールの最大長は140cmまでで、軽いモデルは130cmを切ります。うーん、悩ましいですね。 結局のところ、トレッキングポールは2本を組み合わせて使うのが現実的でしょうかね。
 ちなみにメーカー純正で、伸縮式トレッキングポールを直結させるパーツが販売されています。繋いだ姿が美しく、居住性を邪魔しません。 ただ、使えるポールを選びますし、結構な重量増(47g)になります。
 一方、ブラックダイヤモンドからも、ポールリンクコンバータという連結パーツが売られています。 こちらは31gで500円ですが、繋いだ姿はイマイチです。


 私はブラックダイヤモンドのウルトラディスタンスを2本使って、細引きロープとミニ自在で固定しています。
1.ウルトラディスタンスは、バスケットにポールをクリップできる溝があります。
 ここにお互いのポールが挟まるように、グリップが端を向くように仮固定します。
2.ポール同士が固定されるように、ベルクロテープで3ヶ所ほど縛ります。
3.次に片方の石突の根元にロープを固定して、すぐ先にループを作ります。
4.もう片方のポールにもロープを固定して、そのロープを先ほど作ったループを通します。
5.通したロープに自在器具を付けます。これでポール同士の重なりの長さを調節できます。

 この方法だと、ブラックダイヤモンドのポールリンクコンバータよりも遥かにスッキリとした外観になります。 また重量増はたった5.5gなので、Locus Gear純正のポールジョイントよりも30g以上軽くて済みます。 あくまでシェルター内の中央にポールが立つのを嫌がるならDPTE(デュアル・ポール・ティップ・エクステンダー)を使ってもよいのですが、こちらはメーカー公称130gと、はっきり言って重すぎる印象です。 ポールリンクコンバータも、ポールジョイントも、DPTEも、用途が限定される装備であり、何らウルトラライトな考え方ではありません。 それに対して、ポールが中央に立つデメリットは相当小さく、ガイライン・自在器具・ベルクロテープは、バラせば多用な使い回しが可能です。

↑ このページのトップ ↑

必要なペグダウン数は?

 クフ・シリーズに必ず要するペグダウン箇所は、4つです。一般的な、一人用のタープやツェルトに必要なペグダウン数は6つなので、それよりも少ないです。 もちろん、シェルターを立てるのに最低限の必要な数の話であって、これで十分な耐候性があると考えてはなりません。 ローカスギアでは、「底面の8ヶ所は必ず固定する」べきで、「状況に合わせてパネル面の4ヶ所からもガイラインを取る」こととしています。
 ただ現実的に考えて、12本ものペグを持参する必要はありません。当然ながら固定箇所が多いほど耐風性は向上しますが、それは、やはり状況に合わせてです。 例えば樹林帯のキャンプ指定地だと、しっかりと固定されたシェルターが強風で飛ばされる事態は、まず起こらないと思います。 この場合は、Khufuでは底面の6ヶ所を固定すればよいと感じています。(4隅と長辺側中央2つ。これ以上増やしても、幕帯のバタつき音は大差ないため。) また稜線のキャンプ指定地では、そもそもペグが利かないことも多く、少なくとも日本では、指定地には程良い大きさの石が置いてあるものです。 石をペグ代わりに使えば、細引きロープだけで好きなだけ固定することができます。よって、私はペグを6本用意してクフを利用しています。 キャンプ場での石が期待できない状況、残雪期などは、相応の準備が必要なのは言うまでもありません。
 なお少々アレですが、クフはフロアレスシェルターなので、固定が甘い状態で突風に煽られても、人がテントごと飛ばされることはありません。まぁ緊急事態には変わりありませんが…。

↑ このページのトップ ↑

設営に必要なスペースは?

 ここまで、Locus Gear Khufu CTF3を紹介してきました。軽くて頑丈、広くて設営や撤収もカンタン。 良い点ばかりのようですが、使うフィールドによっては苦戦を強いられる、宿命的な弱点・欠点があります。 それは大きな設営面積が必要で、区画化されたテント場は苦手なことです。 例えば槍ヶ岳山荘や穂高岳山荘のように、少人数の自立式テント向けに設営スペースが区画化されていると、設営が困難なことがあります。
 ほとんどの幕営指定地では設営スペースの制約がないため、まったく問題なく使えますが、日本アルプスの稜線上の一部では、気を付けたほうがよいでしょう。 山岳部に多いダンロップのV8アルパインテントほどではありませんが、前室を張り出した3人用自立式テントくらいのスペースが必要です。 まぁ制約のあるテン場だったとしても、これらの大型テントが来ることも当然想定しているでしょうから、探せばスペースが見つかるかもしれません。 でも、激混みのシーズンなど、すでにスペースが確保されていると、厳しいことになります。

<設営が厳しいと思ったテント場>
・槍ヶ岳山荘 ・穂高岳山荘 ・唐松岳頂上山荘 ・針ノ木小屋

<問題なく設営できたテント場>
・白馬大池山荘 ・白馬岳頂上山荘 ・天狗山荘 ・五竜山荘 ・冷池山荘 ・種池山荘 ・船窪小屋
・剱沢キャンプ場 ・雷鳥沢キャンプ場 ・五色ヶ原山荘 ・スゴ乗越小屋 ・薬師峠キャンプ場 ・雲ノ平山荘
・黒部五郎小舎 ・三俣山荘 ・双六小屋 ・笠ヶ岳山荘
・岳沢ヒュッテ ・南岳小屋 ・ヒュッテ西岳 ・大天荘 ・蝶ヶ岳ヒュッテ

・光小屋 ・茶臼小屋 ・聖平小屋 ・百闢エ山の家 ・荒川小屋 ・高山裏避難小屋 ・三伏峠小屋
・熊ノ平小屋 ・農鳥小屋 ・大門沢小屋 ・南御室小屋 ・北沢長衛小屋 ・両俣小屋
・北岳山荘 ・北岳肩ノ小屋
※北岳山荘は、間ノ岳方面に広い場所を確認したので、「支障を来さない」に移動しました。

↑ このページのトップ ↑







◆参照・引用(五十音順)

 ・ローカスギア ホームページ
  http://locusgear.com/
 ・Hiker's Depot ホームページ
  http://hikersdepot.jp/
 ・Mountain Laurel Designs ホームページ
  http://www.mountainlaureldesigns.com/

↑ このページのトップ ↑


Copyright(C) 2005-2014 Mars. All Rights Reserved.