DAHON Mu SLX - Life with Folding Bike -
2019.3.31更新
 ダホン(DAHON)の折りたたみ自転車、Mu SLX(2018)の紹介です。
 DAHONは、TernやBronptonと並ぶ折りたたみ自転車の巨頭の一角です。 ここで紹介するMu SLXは基本の走行性能の良さ、可搬性、カスタムパーツが豊富なこと、有名メーカーなのでカスタム先駆者も多いことから、 カスタムベースとしても人気のモデルです。 私としては素の状態で気に入ったから買ったようなもので、原型が分からないほどカスタマイズしまくる性分ではありません。 そこまでの情熱と先立物がないという…ですが、機会があれば取り上げたいと思います。
 ここで紹介するのはMu SLXの2018年モデルですが、DAHONのMuシリーズ自体は2006年からMu P8、Mu SL、Mu EX、Mu Eliteなど中級〜最上級モデルとして売られ続けています。 2019年モデルのMu SLXも後輪のハブが変わっただけで大きな変更点はないようです。

もくじ

DAHONの『 Mu SLX 』という自転車
購入するまでの経緯
Mu SLXを試乗した感触
各部仕様の覚書
・チェーン落ちをどうにかしたい
・純正輪行バッグSlip Bag20"レビュー
・周辺機器&カスタム候補
・ブルホーン化…そして失敗…
・やっぱりブルホーンSTIか
参考・引用


DAHON Mu SLXという自転車

 ダホン.jp のHPから過去のMu(ミュー)が出るわ出るわ。どうやらペットネームのあとのアルファベットは、
SL(SuperLight):軽量性を重視したヤツ。
X(eXtream):極めちゃっているヤツ・フラグシップモデル。
…という意味合いのようです。つまりMu SLXは、DAHONの20インチモデルでも車体が軽くて高性能なフラグシップ機ということになります。 なお、Mu(ミュー)から派生したアーチ型フレームの16インチモデルがCurve(カーブ)です。

 DAHONで2006年にMuが誕生したのは確実で(黒色でSHIMANO Capreo搭載のMu C9?)、当時から走行性と軽さに主眼を置いたシリーズとして紹介されています。 このときはDAHONロゴが旧ロゴで、現行ロゴに変わったのが2007年なのでかなりレアなMuシリーズということになりますね。 2008年にMu P8ときて、2009年にSRAM X9搭載で9sのMu SLと、SRAM Red 2x10s搭載で¥350kの100台限定モデルとしてMu EXが出てきます。 ちなみにアキボウが dahon.jp の独自ドメインを取得したのが2009年のようで、2008年以前のデータは拾えませんでした。

 2010年に一度Mu SLは消えて、Mu EX(限定じゃなかったんかいっ)、中価格帯で8sのMu P8、シングルスピードのMu Unoに分化します。
 2011年のDAHONは、何があったのかはっちゃけてます

 Mu SL、Mu P8、Mu UnoといったMuシリーズの上位に、すべてXを冠したVectorシリーズを輩出しています。 2012年には限定カラーのMu SL limitedと、普通モデルのMu SL、Mu P8の展開になり、Unoが消えます。
 一大転機となるのが2013年。Muのペットネームこそ冠してませんが避けて通れない30周年記念モデル、 Anniversaryが出ます!何と世界300台限定で¥577kという価格にDAHON初の451ホイール採用、DURA-AceとSRAM Redのコンボで30spd.のブルホーンSTIという…絶句仕様 ( ̄□ ̄;)エェーです。 その陰に隠れて、サブとばかりに出たのがMu SLXです。これまでのMu SLと違い、SRAM系コンポからSHIMANOに鞍替え、シートステーを設けて軽量化と剛性アップを実現したモデル。ここでMuのロゴも刷新されました。
 VectorとAnniversaryが単年の限定モデルだったのに代わり、Mu SLXの上位に据わったのがブルホーンハンドルやSTIを搭載したフラグシップ Mu Eliteです。 ただ¥245k〜¥296kという価格の割に9.7kg〜10.0kgと軽いわけでもなく、Visc P20からVisc Evoへ451ホイール化してしまったことから独自性が薄れたのか、2017年に消えてしまいました。

 俯瞰して見ると、2006年にMuが初登場してからというものの、Muと同様のアーチ型フレームがいかに人気なのかよく分かります。 VectorシリーズやAniversary、Mu Eliteなどメーカーの威信を賭けた高額モデルにも長く採用されたフレームデザインであり、定番の位置を占めていると言えるでしょう。
 その中でMu SLXは、軽量でよく走る高性能モデルとして君臨しています。DAHONの中でも、2008年に世界限定250台で出たマグネシウムフレームのMu XXV(7.5kg)と、2009年のHelios SL(8.3kg)を除けば、20インチモデルではずっと最軽量の地位にあります。ちょっと苦しいかなぁ…Helios SLは誤植で8.8kgとも。


購入までの経緯

 読み飛ばし用まとめ
ロードバイクに乗っていたけどレースしないし飽きてきた
前々から折りたたみ自転車に興味があり、出先で日常の足が必要になった
帰省期間中に飛び込みで買った折りたたみ自転車が酷すぎた
 ロードバイクのヘッドチューブが損壊、乗っていて楽しい自転車が手持ちになくなる 
今度こそ真面な折りたたみ自転車が欲しいから、ちゃんと試乗しよう
Mu SLXに惚れる

↓ さっさと次へ ↓

 …ということです(笑)
 思えばシティサイクルから離れて最初に買ったのがGIANTのCROSS 3400(2004年)⇒  で、これは整備不良もありすぐにダメになりました。 次に買ったのはGIANTのOCR 2(2005年)⇒  で、当時はほぼ不満がなかったものの盗難に遭いました。 しばらくはCROSS 3400で凌いでいたものの、一度ロードバイクの走行性能を覚えた身としては、 自分の体調を疑うほど漕ぐのが重くスピードが出ず維持できないというストレスを抱えることに。
 友人からBRIDGESTONE ANCHOR RA3(2004年製)のフレームセット+ホイールを貰い、フレームに適合する規格を調べに調べて一度?しか使わない専用工具に大枚を叩いて。 その頃の自分は、月収から今月はステムとハンドル、次月は前後ディレーラー、最後にクランクセットと買い集めた記憶があります。最初はSTIレバーが高くて買えずフラットバーロード(4500系TIAGRA)を自分で組み立てました。 ⇒  これが2007年の秋。まぁ一年と経たずにSTIレバーとドロップハンドルとステムを買い足して組み換えました。
 このロードバイクに通勤の週5で10年近く乗っていました。 その間、STIメカ内に破断した変速ワイヤーが巻き込んで抜けなくなったり、ホイールのスポークがリムの根元ごと脱落して修理不能、ULTEGRA WH-6700に付け替えたり、 もちろんチェーン交換やスプロケ交換は数多。購入店を頼れない状況でいい経験を積んだと思います。 自分の手だけで大概のことが出来るのも、自転車の魅力の1つですよね!
 ただロードバイクに乗っていたと言っても、巡航速度は30km/hが精々。ドロップハンドルの下ハンも年1回持つかどうか。通勤距離も12kmと短いものです。 次第にメンテが疎かになってきたところで、地方に1年の出向機会が。現地用のクルマはあるものの、ちょっとした日常の足にチャリが欲しくなります。 この頃には700Cロードの輪行も何度か経験しており、輪行は気に入ったものの収納と展開が手間で手間で嫌になりました。ロードバイクがあるのでサブは折りたたみ自転車と決めていました。 そこで自分が選んだのが5LINKS 2 169(2016年)。⇒  多くは語りません。無知でした。無謀でした。自分には¥50kで買ったCROSS 3400みたいな走行性では今更納得できなかったのです。
 さて地元へ帰り、「やっぱロードのほうが」なサイクルライフを過ごしていましたが、長い下り坂で落車事故を起こしてしまいました。 茂みに突っ込んで自分は(服以外)大したことはなかったのですが、ロードバイクのヘッドチューブとフォークが再起不能になってしまいました。 思えばハンドルの動きも渋くなっていたので、ヘッドパーツの寿命から操作不良を起こしたのかもしれません。結局、乗っていて楽しい自転車が手持ちになくなってしまいました。

 ここで普通なら、ロードバイクを買い直すところだと思います。でも自分としては、
・そもそもレースやサイクルイベントには出ない
・やっぱり輪行したい
・地元の駅に自転車を放置したくない
・新しいカテゴリーの自転車が欲しい

 …ということで、折りたたみ自転車から選ぶことにしました。まぁあと、どこかで聞いた受け売りですが…「真面目にならなくて良い」ことが、折りたたみ自転車を含めた小径車の大きな魅力だと思います。 ロードバイクなら、性能を突き詰めればレース専用機になってしまいますし、冬でもムートンのコートに暖パンで走っていたら変です。体型だって…ねぇ(-_-;) 小径車にはそういった肩肘張ったところがないから、何やってもOK!な雰囲気があります。

折りたたみ自転車選び

 伊達に¥140kの勉強料を払ってません。絶対に試乗してから買おうと心に決めました。幸い、今回は限られた帰省期間に急いで買う必要はないのです。 まとめサイトとかも見ましたが、それより自分の行動範囲に折りたたみ自転車の専門店があるか、何台も試乗できるかを先にチェックしました。…まぁ地元には無いんですが、都内に出ればあると。

Bronpton(ブロンプトン)
コンパクトで頑丈なことに定評がありますが、重い。イギリス製というのも惹かれないわけではありませんが、スペック比で高すぎる印象です。 折りたたみ自転車に強い店に行くとブロンプトン専用コーナーを設けているところも多く、皮革製のグリップやサドル、サドルバッグなどサードパーティ製のオプションが超豊富。 なんというか完全にやっかみですが、ブランド臭が凄いですね。所有ステータスと信奉の陰を感じてしまい、このメーカーはパス。 幸い5LINKS2 169のおかげで、畳んだまま転がせる意義の低さは学んでいました。

Tyrell(タイレル)
無理。完全に予算オーバー。そりゃあ、フルでロードバイクの規格で組める折りたたみ自転車なんて最高ですよ。完成車の参考重量8.5kg! 安い完成車と貰い物しか乗ったことがない私にゃカラーオーダーにテンション上がりますし、溶接痕のスムージングも憧れ。眺めているだけで酒が呑めそうです。でもFSXの105グレードで¥300kって…無い袖は振れません。 一応、ハンドル部分が畳めないんじゃコンパクトさが犠牲になっているがなぁと自分に言い訳しまして、このメーカーからは逃げの一手。ぜんぜん興味ないんだからね!チラッ

 ここで、大御所でド定番なTern(ターン)DAHON(ダホン)から選ぶことに決定。 というのも、自分が欲しいのは「何々ブランドの自転車」ではなくて折り畳めるフラットバーロードなのだと遅まきながら気づいたためです。 あと何だかんだと言って、この2社はコスパがよいです。有名メーカーなのでカスタム先駆者も多いし、対応パーツも割と豊富なほうに思えます。 まぁアレですよ…人と被るのは嫌とかいう偏屈根性を失敗で叩き折られて、結局は無難なメーカーから探すという日和っぷりです(−。−;)フゥー
 そこから、都内を中心にTernとDAHONを試乗できる店を探して、千葉県柏市の橋輪リンク というお店がヒットしました。 TernとDAHON自体を取り扱う店は幾つかありましたが、店公式ブログ(はしりんブログ)でほぼ全車に「試乗できます!」と書かれていることが大きな安心材料でした。 購入候補を絞る意味でも、ブログは過去記事も含めて読み漁ってしまいました。すぐにカスタマイズも強い店だと分かり、なお安心。 ぶっちゃけて自宅からそこそこ遠いですが、どうせ都内から店を探していたところから考えれば誤差ということで。

 突撃してみたもののお盆期間中は思いっきり休業中orzという罠にハマりながら、後日に再び訪店。こう言っちゃなんですが小さいスペースに所狭しと自転車が並んだ店です。 それに比べてスタッフの数が多すぎじゃないかというのが第一印象でした。

そして試乗へ・・・

試乗インプレなんて大層なものじゃありません。5LINKS 169と比べての感想というお断りを入れさせてください。

《 Tern Verge P10 》 ⇒  
 ブログを読み漁って目星を付けていたのは、TernのVerge P10マットブラックですがすでに売り切れ。 まぁマットシルバーでも乗り心地は変わらないし、橋輪さんには悪いですが在庫のある別店舗でブラックを買えばいいかと思い、一通り店舗をうろついた後に試乗を申し入れました。 身分証を出すも「別にいいですよ」って…あれっ?ブログに書いてあることと違くない?
 20インチの451ホイールってどんなものよ?スピード維持は?という確認がしたかったのが一番。しかし…やはりデカい。 16インチにそれなりに慣れた身として20インチの406ホイールは順当なサイズアップだなぁで済みましたが、16→20(451)だと別次元な感じ。むしろロードバイクの700Cと比べたほうが近いような気がしてきます。 何となく頼もしいけど、折りたたみサイズも順当に一回り大きい…。
 で、試乗開始なのですが。まずは自転車のことじゃなくて道路のこと。車通り多すぎ!歩行者も沢山!道が狭い!ここで試乗せいってか。ま、まぁ現実に即していていいかな…。さてさて。

 …違和感だらけ(当たり前)。

 まずはローギアが軽すぎます。平地のゼロスタートだとスカスカ。ロードバイクではフロントディレーラーを外してシングルで十分だった自分にゃ、 平地スタートはフロント39T×リア25Tの[3.27m/ペダル1回転]で十分で、それでリアを25Tに落としきることなく地元の激坂も登ってました。 Verge P10はF:53T×R:40Tだから[2.05m/回転]しか進まない軽さです。ちなみに軽すぎると思っていた5LINKS 169でもF:53T×R:26Tの[2.40m/回転]です。
 逆にトップギアのF:53T×R:11T=[7.44m/回転]は、700Cロード時のF:39T×R:13T=[6.29m/回転]や、5LINKS 169でF:53T×R:9Tの[6.92m/回転]よりも重くて、いつ使うのか分からないほど。 まぁこれは、自分の脚力がしょっぱいことが理由ですが、身の丈に合わない性能は不要なわけです。ロードで事故った地元の激坂を下るとき、F:39T×R:13Tだと一瞬足りないこともありましたが、 そこで落車してロードバイクを御釈迦にしたため、もう60km/h超なんて怖くて出せません。スプリットストリームを活かして7-11トラックを小判鮫するならアリかとも思うのですが、折りたたみ自転車でヤるかぁ?という疑問があります。 これだって急ブレーキ踏まれたら即死のスリル、いやリスクと戦っていたわけで、もうそんなに若くないと。こんなウルトラワイドなスプロケット要らないよ。峠を攻めるわけでもないし…。

〈ペダル1回転で進む距離〉
ANCHOR RA3ロード
700×23C 25T  23T  21T  19T  17T  16T  15T  14T  13T 
Fギア数:39T 3.27m3.55m3.89m4.30m4.81m5.11m5.45m5.84m6.29m
5LINKS 2 169折畳
16in.×1.25 26T  23T  20T  17T  15T  13T  11T  10T  9T 
Fギア数:53T 2.40m2.71m3.11m3.66m4.15m4.79m5.66m6.23m6.92m
Tern Verge P10折畳
20in.(451)×1-1/8 40T  36T  32T  28T  24T  21T  18T  15T  13T  11T 
Fギア数:53T 2.05m2.27m2.56m2.92m3.41m3.90m4.55m5.46m6.30m7.44m
  ※ペダル1回転で進む距離(m) = タイヤ周長(mm) ÷ リアスプロケットのギア数 × フロントチェーンリングのギア数 × 1,000

 そしてシフトチェンジ。あー…グリップじゃなくてレバーシフトってやっぱいいなぁ…が最初。クリップシフトのほうが一気に変速できて優位な点も多いのですが、長く使ってベタついたりすると交換品の入手に困るのです。 ローギア寄りで変速のたびに「ガッチャキン!ガッシャギン!」とCapreoみたいに鳴ることもなく、ウルトラスムースとも行きませんが十分に満足です。 所詮はTIAGRAグレードまでしか乗ってない自分の変速性能要求はこの程度ということです。リア10速ってだけでウキウキしているくらいですしね。

 次にブレーキ。油圧ディスクブレーキはもちろん初めて。比較対象もないので何もかも新鮮でした。レバーの動きに対して吸い付くようにリニアに働くブレーキング、静かで強力に効くのに微妙なコントロールも楽々。 しかも雨天でもブレーキ性能が落ちないとか。あぁ…これなら雪が降って国道に突っ込むような悪夢は見ないんだろうなぁ。油圧ディスクって皆が口酸っぱく言うのも分かります。

 少しスピードに乗って、すぐ分かるフレーム剛性の高さ。ガッチリしてます、不安ないです。折り畳み機構に遊びがあって漕ぐ力が逃げまくることもない…こっちが普通ですよね。 ギュンギュンとスピードが乗ります。スピードの維持も16インチより遥かに楽。歩道と路肩の間にある数cmの段差も超えやすい。高速でのコーナリングとかは試せませんでしたが、低速でフラ付くこともないし、いいですねぇ。こうじゃないと!…というか、こうじゃないと折りたたみ自転車全般に不信感を抱くところでしたよ…。

 最後に重要な外見。カラーに関して、自分は大のブラック好きです。ブラックが無ければシルバーや白でも何とか納得できますが、基本は黒一色。欲を言えばロゴも黒地に白文字ではなく、黒地に鏡面の黒ロゴとか目立たないのがベストです。 既存のパーツを再塗装するほどには執着しませんが、ネジ頭を油性ペンで塗るくらいはやります。その点、Verge P10は挿し色に青ラインが入っており、まぁブラックがメインなだけ許せますけど不満ありです。

 Kinetix Proホイールのスポーク数が少ないのがカッコいい。実際の重量や転がり抵抗の少なさとかも大切ですが、曲がりなりにも元ロード乗りとしては、スポーク数が多いと安物に乗っている劣等感が出てしまいます。 スポークが多いと空気入れにも邪魔ですし、メンテで拭くのも手間が増えます。

 最後に落ち着いて考えると、ウルトラワイドなスプロケはワイドな分だけギアの落差が激しく、1つ変速すると急に重くなる感じです。 油圧ディスクの感覚は確かに良いけど、ブレーキオイルの交換が面倒臭そうなのと、ブレーキケーブルの長さは自由に変えられるのかが不明瞭で、頭の中で保守派と革新派が対立してます(笑) コンポは明らかにMTB系統で、私にとって馴染みがないのが痛いところです。

Mu SLXに出会う

 予算外¥269kの《 Verge X11 》は、溶接痕が控えめなものの、P10とそんなに違うかな?というのが正直な感想です。 さらにワイドレシオなスプロケは私にとってむしろマイナス要素であり、SRAMコンポで無理やり価格を釣り上げて何とか1.5kg軽くしたようにしか思えませんでした。ついでにビビットな挿し色が嫌。
 《 Verge D9 》、《 Verge N8 》、《 Link N8 》の試乗では、最初にP10に乗った所為かどれもパッとしない印象です。 正直言って、変速性能は¥146kのP10も¥78kのLink N8もそう変わらないかなと。グリップとサドルの質感は順当に落ちてましたが。Verge N8とLink N8のブラックカラーは好みにドンピシャだったので、ここから細々とカスタムするのも手かと思いました。

 でもダメですね。DAHONのMu SLXに乗ったら。
注)これに乗ってしまうと、ミドルクラスには戻れなくなりますので、お気を付け下さい』とは、はしりんブログの締め文句。そう書かれていたのは訪店前にチェック済です。 ここまで書いてアレですが本命は《 Visc Evo 》 ⇒   で予算を組んだはずが、見事にしてやられましたよ。まぁ無意識に大本命は決まっていたようなもの…なのかなと。

【 何と言っても軽い 】
 Mu SLXを紹介するうえで最初に挙げられるのはコレでしょう。完成車重量が8.6kgと試乗車中の最軽量。5LINKS 169もスタンドを除けば9.8kgと折りたたみ自転車の中では随分軽いほうですが、それよりも軽いのです。 そして5LINKS 169はゴルフのキャディバッグを縦に持ち上げる感覚のため重く感じるのですが、DAHONやTernだと右チェーンステーを左手で掴むと身体に近く高い位置で持ち上げられるので、 登山ザックと同じ理屈で取り回しがよく、実際の軽さと相まって持ち運びが楽です。5LINKS 169で数十回の通勤輪行をこなしていたので、橋輪さんの店内をウロウロさせてもらっただけでもよーく分かりました。 これなら駅の自動改札を通るのも、駅ホームを端まで歩いたり一度屋外に出る長い乗換え距離でも苦じゃありません。
 漕ぎ出した瞬間に走りが軽いことが分かります。小径車の漕ぎ出しが軽いのは当たり前なんですが、それとは別次元の軽やかさ。 巡航速度までスピードを上げていく距離が短く感じるというか、そこに持っていくまでにストレスがありません。 柏駅から離れる方向に坂があるのですが、そこを登るときも分かりやすいですね。ペダルに力を入れるたびにグイグイと登っていけます。 傍目にどうかは分かりませんが、感覚としては鳩が歩くときに頭をヒョコヒョコさせている感じで、坂の途中からギアを上げたくなるほどです。 っていうか、間違いなく自分が乗っていたロードバイクより軽いし、下手な¥150k未満の廉価ロードバイクより軽いのでは?

【 フロントシングル55T × SHIMANO 105コンポーネント 】
 ギアのバランスもよいです。まぁロー側28Tの[2.8m/ペダル1回転]はVerge P10ほどではないにしろ軽いのですが、十分に許容範囲です。リアディレイラーの調整が適当でロー側が1段使えないまま運用とか普通にやりますし。 トップ側11Tの[7.3m/回転]もいつ使うんだというほど重くて、先述の下り坂でも全然使いきれないのですが、あって困るものではないし、それ以外のギアの落差が小さいから1段で急に重くなることもありません。さすがロード用11sのスプロケだと思います。
〈Mu SLXのペダル1回転で進む距離  ノーマル〉
20in.(406)×1.25 28T  25T  23T  21T  19T  17T  15T  14T  13T  12T  11T 
Fギア数:55T 2.85m3.19m3.47m3.80m4.20m4.69m5.32m5.70m6.13m6.65m7.25m

 何より安心のSHIMANOロードコンポ。ドライブトレインは消耗と無縁ではいられない部分で、特殊なパーツで組まれていると代替品を探すのが大変です。現時点で11sはDURA・ULTEGRA・105に長く採用され互換性もあるはずなので、 SHIMANOが作らなくなっても市場ストックが残りやすい。実際に9sのチェーンは未だに入手が容易です。むしろ10sのほうが怪しい気が。不安なのはフロントの55Tチェーンリングですが、ここは早めにストックを作るしかないでしょう。 どこかしらにトリッキーな組み合わせが来るのは、小径車である以上は仕方ないのかもしれません。その中ではMu SLXは随分マシってことで。
 あとは変速性能ってやっぱ違うんだなぁということ。プロに整備された試乗車だとどれも完璧に調整されていて違いは分かりにくいけど、整備不良気味なTIAGRAやCapreoの所有車と比べると歴然としています。 少ない音と衝撃(笑)で『チャコッ・カチャッ』と変わるものなんですね。経験上リアディレイラーはまず壊れない部分なのでDURAかULTEGRAに変えちゃうのもアリかと思ってしまいました。 シフトレバーはSL-RS700からのアップグレードは難しそうですけど…。
 あちゃーと思ったのが、試乗中にチェーンが外れたこと。内側に落ちたのではなく、クランク側に落ちました。帰店後に聞くと「どうしてもね…」とのこと。 5LINKS 169も時々落ちますし、フロントディレーラーがない自転車では宿命らしいです。Mu SLXだとDAHON純正のチェーンガイドがあるので内側には落ちないのですが、外側には落ちると。このあたり、Ternのほうが上手くできていますね。 このためだけにフロントディレーラーを着けたらどうかと店員に言ったら苦笑いされましたよ。だよなー…。 かと言って今更フロントダブルにしようとは全く思えません。速攻でVisc Evoを購入候補から外した理由もフロントダブル。使う機会がないです。

【 TIAGRAブレーキレバー + Vブレーキ 】
 ここがロード用のショートキャリパーだったら満点でした。これ個人的な偏見なのでしょうけど、Vブレーキによい思い出がありません。 というかCROSS 3400のVブレーキで左右のアームが均等に動かない・調整が果てしなく面倒という固定概念と、その後のロードキャリパーで感涙モノの調整しやすさを味わった弊害ですな。  もちろんMu SLXの試乗車は完璧な整備でそういったことはなく、むしろ強烈なストッピングパワーにビビったくらいです。
 走ったり弄ったりするにつれて、ゆくゆくはSTIにカスタム…なんて頭をもたげるわけでして。 でもキャリパー採用のVisc Evoはなぁ…。フロントシングルにしてディレーラーとシフターを取っ払っても8.6kgには程遠いし、スポーク数が少ない451ホイールに換装するほどの情熱が自分にあるか…?  ・・・ないな!
 調整方法は勉強し直すとして割り切るしかあるまい。いざとなったらSTIでVブレーキを引くことにしましょう。

【 20インチ(406)のDAHON Proホイール 】
 あ〜やっぱこうだよな…。自分にはスポーク数が多いホイールによく分からないコンプレックスを、3バトンカーボンや超ディープリムみたいなホイールにはそこはかとないドン引き感を、それぞれ持っています。 DAHON Proホイールのスポーク数は、フロントが14H、リアが16H。乗っていたロードのWH-6700がF16H・R20Hだから、それよりも本数が少ない。見た目の話で恐縮ですが大いなる満足感があります。
 …それだけです(苦笑)。本来なら、転がり抵抗が…とか、リムとスポークの剛性が走行感に…とか言及するのが相応しいのでしょうが、そんな目を私は持っていません。 走り味が硬いとは思いますが、5LINKS 169と比べて硬いのは当たり前ですし、アルミフレーム+WH-6700のロードと比べれば元からこういうものだと思ってしまいます。
 タイヤはパナのミニッツライトで太さ1.25(32mm)、ロードとかで履くような完全なスリックタイヤです。5LINKS 169のKENDA KWESTも1.25ですが、随分と細いように感じますね。
 下調べで406⇒451ホイール化が定番カスタムな気配を感じていたのですが、406ホイールでも不満はないですね。 そのまま451ホイール化してしまうと下表のようになってしまい、トップギアの[7.73m/回転]は700Cロードの52T×14T相当とどんな下り坂だよっ!な代物になってきます。 これを元に合わせようとすると、フロントのチェーンリングを52Tを選ぶことになりそうです。

〈Mu SLXのペダル1回転で進む距離  451ホイール化した想定〉
20in.(451)×1.25 28T  25T  23T  21T  19T  17T  15T  14T  13T  12T  11T 
Fギア数:55T3.03m3.40m3.69m4.05m4.47m5.00m5.67m6.07m6.54m7.08m7.73m
Fギア数:54T 2.98m3.34m3.63m3.97m4.39m4.91m5.56m6.96m6.42m6.95m7.58m
Fギア数:53T 2.92m3.28m3.56m3.90m4.31m4.82m5.46m5.85m6.30m6.82m7.44m
Fギア数:52T 2.87m3.21m3.49m3.83m4.23m4.73m5.36m5.74m6.18m6.70m7.30m
Fギア数:50T 2.76m3.09m3.36m3.68m4.07m4.54m5.15m5.52m5.94m6.44m7.02m

 …待てよ?チェーンリングは55Tよりロードのアウターに使われる52Tや53Tのほうが圧倒的に入手性に優れるわけで、これはこれでアリではないかと。 いやいや…ここで、逆に待ったをかけたのもDAHON Proホイール。この見た目、前後で990gと聞く軽さで、公式定価で¥49kとか、451ホイールであんのかよって話。 いや…あるんですが。これまた情熱の問題になってきますね。取りあえずVisc Evoは、ホイール・シートポスト・コンポ・スタンドの重量差を考えて(まだ見落としがありそうですが)1.0kgくらい差があることになるので、完全にパスで! これならMu SLXには451ホイール化の余地が十分にあると考えたほうが健全。次第に言い訳がましくなっていく…

【 シンプルすぎるハンドル周り 】
 ここは『安く・軽く済ませるための手抜き』を感じました。なんで上位モデルなのにグリップがこんなシンプルなのか。ただのスポンジじゃん。ここはERGONグリップを持ってくるところでしょ。
 そして、ステムなし。VROステムはどうした。いや考えてみれば、ステムがないからとハンドル操作に違和感ありまくりというわけでもなく、少しクイックかなぁ程度だから問題ないのでしょう。 VROステムを採用されると、フラットバーから卒業すると畳むときに工具が必要になる欠点が生じます。サドルと同じで「お前らどうせ組み換えるだろ」ってことなのか。…ことなのかなぁ…?

【 スタンドは付属しない 】
 Verge X11を除けば、試乗した中では唯一のスタンドなし。まぁこれは、もともと要りません。確かに、あると便利なときも沢山ありますが、絶対に重くなりますし格好付けの意味でもないほうが良いです。 仮に付属してもすぐに外したでしょう。ついでに、ヘッドチューブにバッグなどを装着できるラゲッジトラス(Valetトラス)もなし。代わりにDAHONロゴのバッヂが付いています。これも、これでいい。 だいたい、同じ下り坂でも夏服か冬服かでトップスピードが変わるくらい風の抵抗が大きなウェイトを占める乗り物、前カゴとか私には一生装着する機会はやってきません。

【 外見でトドメを刺される 】
 先にも書きましたが、大の黒好きです。試乗時の2018年、DAHON(アキボウ)では「NIGHT FLY - Dress Black Edition -」と題してパーツカラーをブラックで統一した特別仕様を掲げていたんです。 まぁ翌2019年にもMu SLXはドレスブラックで売っているので、今としてはなんだかな orzなんですが、 今から過去のMu SLXを見てもスパーキーレッドとかブリティッシュグリーンとかカリブブルーとか画像検索結果が目立つので、これを逃したら派手色になってしまう!と思い込んだわけです。 まんまと乗せられたわけですが後悔はしてません。だって黒いから!
 ついでに…ではなく重要なところで、溶接痕のスムージングも成されてます。実際にはBB周りはモリモリしているのですが、 ヘッドチューブ周り、フレーム途中の折り畳み部分、シートチューブ周りは丁寧に処理されていて、所有欲とか格好付けの問題なのでしょうが、やっぱり満足感が違います。書き方がもう購入した体ですが…

 実際には同じ日に2回試乗しました。橋輪さんから南東の自販機前に灰皿があるので、そこで一服☆落ち着け…。予算的にビビっているとき自分はこういう行動パターンを取ります。予算を¥70kオーバーって正気か…? 5LINKS 169じゃ本当にダメなのか…?Visc Evoだって良かったじゃん。カスタムとか考えているけど、身の丈に合ってる?「よ〜く考えよ〜♪お金は大事だよ〜♪」のリフレイン。

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購入して、いきなり輪行

 どうせ買わない選択肢はないのです
 分かっていたゆえに5LINKS 169を連れてこなかったわけで。柏駅から地元までMu SLXで走って帰るのは(60km弱なので不可能ではないけど)無理なので、橋輪さんでDAHON純正のスリップバッグ20を同時購入して、持ち帰りましたとさ。チャンチャン♪
 輪行バッグのレビューは別の機会に載せます。というかAmazon掲載済を再利用。

とりあえずのスペック表

 2018年DAHON Mu SLX(Dress Black)の仕様表です。メーカーHPを見ればいつでも閲覧できると思いがちですが、経験上はWebページのデータは全然永遠ではありません。 むしろ「いつ消えるか分からない」代物と捉えて、覚書を作っておくことを勧めます。…でないと、何等かのトラブルが発生したときに対応部品が何なのか分からず困ることになります。

《 2018 DAHON Mu SLX テクニカルデータ 》
項 目内 容 詳細 
価格192,000円(税抜)
車体名称Mu SLX
カラー名称ドレスブラック
モデル番号PKA015 (18MUSLBK00)
車体重量8.6kg
折り畳み方式DFS(フレーム水平折り・ハンドルポスト横折り・シートポスト下げ)
変速機構11段(フロント1段 × リア11段)
フレームDAHON PKシリーズ Dalloy ソナス アルミ Vクランプヒンジ
フォークDAHON スリップストリーム アルミ
ハンドルポストDAHON ラディアス ワンピース 外折れ式 長さ330mm/角度12°
ステムなし
ハンドルバーDAHONオリジナル:AL-006 540mm コラム径25.4mm
シートポストKCNC ライトウィング(DAHON別注) 33.9mm径×長さ570mm
サドルDAHONオリジナル
シフトレバーSHIMANO 105 RS-700-R Black ラピッドファイヤープラス
ブレーキレバーSHIMANO TIAGRA BL-4700
グリップDAHONオリジナル
FホイールDAHON Pro 406 14H
RホイールDAHON Pro 406 16H
タイヤパナレーサー ミニッツライトPT 20x1.25
クランクセットFSA ゴッサマー(DAHON別注) 55T
Fディレーラーなし
RディレーラーSHIMANO 105 RD-5800-SS Black
チェーンSHIMANO CN-HG601-11
スプロケットSHIMANO 105 CS-5800 11-28T
ブレーキアーチPromax DHV-85 Vブレーキ
ペダルMKS プロムナードEZY Black
備考Landing Gear用の台座・キックスタンド用の台座
付属品反射板・呼び鈴・チェーンリテーナー
基本はDAHON.jp から引用ですが意訳や追加情報も掲載しています。



◆参照・引用
 ・千葉県柏市の自転車・車椅子ショップ 橋輪(はしりん)
  http://hasirin.com/index.html
 ・DAHON OFFICIAL SITE - ダホン 公式サイト
  https://www.dahon.jp/index.html
 ・自転車探検!自転車のペダル1回転で走る距離
  https://jitensha-tanken.geo.jp/pedal-dis.html
 ・Cateye タイヤ周長ガイド
  https://www.cateye.com/files/manual_dl/1/129/Tire_size_chart_JP_151023.pdf

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