Ultra Light Hiking Foods
2014.9.18更新
登山装備の軽量化トップ > 装備別:登山装備の軽量化 > 軽量な食糧計画

 登山に持参する食糧選びは重要です。特に長期縦走となると、食糧計画が縦走の成功を左右すると言っても過言ではありません。 日帰りならともかく一泊以上の登山となると、食べずに持ち歩く食糧の量・時間ともに増えます。 食糧は消耗品なのでベースウェイト計算には含まれませんが、実際の登山中に体の負担となるのはパックウェイトやスキンアウトが目安であり、 食糧が重いと、いくらベースウェイトが軽くても疲れやすくなります。 また日帰りや山小屋泊だとしても、食糧の種類や量によっては、装備と比べても結構な重さになることもあるので、適当に選んでいるなら見直したほうがよいでしょう。

 というのも、軽量化装備で日本アルプスを縦走していると、小屋泊なのに私より大きいザックを背負っている人を多く見かけます。 またテント場では、奇抜なスタイルなので他人と話が盛り上がることもあるわけですが、必ず話題になるのが『食料はどうしているのか』だったりします。 多くの人が、登山に持参する食糧に悩まれているようですね。

縦走日数別の重量構成の違い

 食糧の軽量化において、最も障害となるのは「食事を楽しむ」という感覚です。 インスタントですら山で食べるとやたらと旨いわけで、凝ったメシを作ればなお最高なことも、重い贅沢食材の持参話で仲間と盛り上がるのも楽しい……大いに理解できます。でも、やはり始めの自戒を忘れて欲しくありません。
あなたは、何のために山へ行くのですか?

 この回答が「山で旨いメシを食べるため」なら、炭火焼でもダッチオーブンでも、ご自由にどうぞ。 「そこまで食事に拘らない」なら、軽量化のために思いっきり妥協しましょう。 余談ですが、3人パーティで1泊2日のUL登山会を開くときは『和牛ステーキを食べよう』とかテーマを決めることもあります。

 なお、旨い食事が登山の活力になるという持論を展開する人もいますが、これは軽量化後の装備には当てはまりません。 そんな気分の問題に頼らなくても、辛いとか苦行といった思いにはなりにくいからです。

もくじ


メインの食事

 登山での食事は、主食・携行食に関わらず、主に遅効性の糖類(炭水化物・多糖類)を摂るものです。その目的に沿った食材は、やはり穀物です。 白米系、うどん系、パスタ系、ラーメン系が有名どころですが、他には餅や雑穀系もあります。

 上記の穀物なら、どれでも遅行性の糖類を摂ることができます。 ただ栄養補給の点では満点でも、軽量化でアルコールストーブや固形燃料ストーブを選んでいるなら、自然と選択肢は絞られてきます。 ULストーブでは、沸かす・煮立てるあたりが限界で、頑張れば米を炊くことも可能ですが、燃費(持参する燃料の重さ)の点でガスストーブに対して優位性が低くなってしまいます。 この点は茹で時間の長い麺類でも同様です。

 少ない燃料でサッと沸かすだけ、軽く煮立てるだけな食事として、私はアルファ米雑炊ばかり食べています。 マグカップの内側に線を引いて計量カップとして用い、一食のアルファ化米は100gとしています。 これに乾燥スープを入れて水を注ぎ、軽く煮立てて終わり。よくかき混ぜていただきます。 軽く芯が残っていることもありますが、美味しく食べられます。

 乾燥スープのバリエーションで味が変わります。そして、私は基本的に長期縦走でもアルファ米雑炊しか食べません。 『今日は雑炊、明日はパスタ』のように気分で変えるのは面白いとは思いますけど、食事にバリエーションを設けると余計な荷物が生じやすくなります。 …というか、アルファ米雑炊が最も荷物が少なくて済むと感じたからこその、逆算的感想ですけどね。

<アルファ米雑炊の利点>
1.アルコールストーブで十分に調理が可能(前提)
2.使う水の量が300mlと少ない(テント場で水汲みの回数を減らせる)
3.縦走期間中のクッカーがひとつで済む(軽くするために重要!
4.パッキングが袋1つで済む(これまた軽くするために重要!
5.何気に味のバリエーションが多い
6.消化がよく、余計な体力を消耗しない

 例えば、飽きるのを心配してカップヌードルのリフィルを持参することもありました。 この手のインスタントは一見便利ですが、麺&かやくがセットで分離しにくく、麺5食分で一包み、かやく5回分で一包みという風に切り替えることができません。 特に一考するべきなのが、リフィルの袋も結構な重さになる点です。 軽い持参形態を選べたとしても、異なる食材を別々に持参するには、それだけの種類の袋・容器が必要になるため飽きることを危惧する価値があるのかよく考えましょう。

 すべてのメインの食事をパスタやラーメンで構成するのも、使う水の量、燃料消費量、必要なクッカーの大きさ、残った汁の処理、味付けバリエーションの少なさなど、 もちろん重量面においても、不利に思えます。

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乾燥スープ+αでオリジナル雑炊を作る

 味噌汁の乾燥スープも沢山種類がありますが、私個人としては、ご飯に味噌汁を投入した食事ってのは抵抗があります。 これらを除いたとしても、フリーズドライのスープ(乾燥スープ)は、私が確認しただけでも20種類以上あります。 すべてが雑炊にして旨いとは限りませんが、少なくとも10日間は同じ味が重複せずに縦走できることになります。 詳しくは下記を参照してください。括弧の中に示したものは実戦投入の経験済みです。 ちなみに私の味覚では、味が薄いと感じたことはありません。 ごめんなさい、薄いと感じることもあります。乾燥スープを2個入れると、さすがに味が濃いです。1.5個あたりが妥当な気もしますが、準備が相応に面倒なので、薄くても我慢してます。 気になる方は、チャック袋に調味料を持参してもよいでしょう。

<乾燥スープの種類>

・キリン「一杯の贅沢」シリーズ(たまご・完熟トマト・オニオン・海鮮チゲ など)

・アマノフーズ「韓流気分」シリーズ(豆腐チゲ・サムゲタン など)
・アマノフーズ「スープ×スープ」シリーズ(ミネストローネ・オニオン など)
・アマノフーズ「スープデイズ」シリーズ(トムヤンクン・蟹玉・ミネストローネ など)
・アマノフーズ「香るカレー」シリーズ(チキンカレー・野菜カレー・グリーンカレーなど)
 乾燥スープ大手。上記に挙げたほかにも、京風玉子スープや鱈のスープ、きのこスープなど多数。「めざまし朝スープ」シリーズのクリーム仕立ては不味かった。 カレーシリーズは、登山用品店でも置いてある高級品で具沢山で旨いけど、300円/個。例外的に固形で30gほどあるので注意。

・コスモス食品「カリエンタ」シリーズ(トムヤンクン・サンラータン・ジンジャー・グリーンカレー など)
 有機野菜や健康食材が印象的。ただサンラータンとジンジャーは、正直アルファ米雑炊に合わない?

・トップ卵「道場六三郎」シリーズ(ふかひれ・中華・鯛のお吸物・海の幸・三ツ葉と卵 など)
 デパートにも置かれる一級品で、アルファ米雑炊でも旨いものばかり。特にふかひれスープは、そこらの乾燥スープとは一線を画す味でおすすめ。 鯛のお吸物も他にないアッサリ系で、実に日本らしい味が最高と感じる。ふかひれだけ高価だが、それ以外は割と平均的な値段。

・林久右衛門商店「お吸物」シリーズ(松茸・たい・ひらめ・ほたて・ふかひれ など)
 最中に包まれた贈答用の超一級品で、普通は登山に持参しない最高級の乾燥スープ。350円/個。よほどのアルファ米雑炊マニアでなければ、手を出すまい。 日本懐石料理の味を、山でもぜひ。といいたいところだが、味が薄いのが難点。

・日本ドライフーズの各種スープ(豚キムチ など)
 大袋販売が主でシリーズ名はないようである。豚キムチは、縦走時に私が必ず持参するスープのひとつ。

・ポッカサッポロ「韓湯美味」シリーズ(粉末スープ。ユッケジャン・サムゲタン・コムタン)
 粉末タイプ。商品紹介に「ご飯を入れてクッパでも」と書いてある通り、アルファ米雑炊に最適。

<アルファ米雑炊の作り方>

<作り方@>
<作り方A>
<作り方B>
<作り方C>


@クッカーに100gのアルファ米と、乾燥スープ1つを入れます。
 どうやって『アルファ米100g』を量っているかというと、スノーピーク チタンシングルマグNo.2(ハンドル切断後25g)に100gのところでラインを描いておき、それを計量カップとして用いています。 ここで入れた乾燥スープはキリン「一杯の贅沢」完熟トマトです。アルファ米に混ざった茶色の粒はオーサワの大豆ミートです。
 テント場で夕飯を食べ終わったら朝食の準備として、この状態まで済ませておくと朝の時間に余裕ができます。 水まで入れて置いておくのはダメです。ご存知の通りアルファ米は冷水を入れても調理できるので、朝起きたら水を吸い切ったアルファ米と御対面する羽目になります。 こうなると水を追加して火にかけても、なかなか温まりませんし、下手すると焦げ付きます。
A水を入れて、アルコールストーブに着火し、火にかけます。
 どれくらいの水を入れているのか、よく分かっていませんでしたが、室内調理では約300mlでした。 なお登山中は、クッカーの400mlラインを目安に入れています。これより少し多くても大丈夫です。 私のMLV トリニティライト・ストーブでは、使うアルコール燃料は10ml程度(夏季3,000m峰・風防併用)ですかね。
Bクツクツと音がしてきたら火から降ろします。
 完全に沸騰させたり、グツグツと煮る必要はありません。蓋を開けたときに、軽く気泡が出ているのが確認できるくらいで十分です。
Cよくかき混ぜて、いただきます。
 アルファ米に軽く芯が残っていることがありますが、普通に美味しいです。このまま待っていると、アルファ米が汁を吸っていきます。 すぐに食べてスープを楽しむのも良いですし、汁を吸って軟らかくなるのを待ってもよいです。

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<乾燥スープの購入方法>

 インターネット通販では、同じ種類が10個入とか5個入ということが一般的で、単品販売は少ないのが現状のようです。 「少しを多種類」欲しいときは厳しいでしょう。地道に近くの店を当たるしかないと思います。どこを当たるかというと、近所のスーパーではありません。 スーパーでは、大概が大袋で売られています。たまに単品販売モノが置いてあることもあるので、覗いてみる価値はありますが。
 一番身近なのは、やっぱり登山用品店。利用前は「何だかんだ言って割高なのでは」と思っていましたが、バラ売り価格と考えると思いの外、適正価格でした。 あとは上でも挙げましたがデパ地下。道場六三郎シリーズはバラ売りされていることが多いです。乾燥スープ以外も流石はデパート。 スーパーでは扱っていない乾燥食材や調味料など「ちょっと高級志向か珍しいもの」を探すには打って付けです。 あとは、カルディコーヒーファーム。乾燥スープ・乾燥食材から調味料、高カロリー系のナッツや菓子など揃っています。

<+αにも乾燥具材を用いる>

 なお、ただアルファ米に乾燥スープを足すだけでは芸がない、一工夫したいと思うかもしれません。 前述の通り重量増につながると断ったうえで、何らかの具材を足すのも一興です。 定番としては、乾燥野菜(フリーズドライ野菜)。「ラーメンの具」みたいなミックス品もありますが、こちらは乾燥ワカメの分量が多く、コーンは要らないと思います。
まぁウェブで探してみると、キャベツ・人参・白菜・ほうれん草・ネギ・ゴボウ・ミツバからニラまで多種多様にあり、「そんなに種類があったんだ」と驚くくらいです。 野菜に限らず、林産物である椎茸・舞茸・えのき茸・タケノコまで売られています。旨味も去ることながら、食感が独特でイイですね。 海苔・アオサ・ワカメなど海産物も定番でしょう。乾燥ワカメは、細かく砕いて、控えめな量を入れるだけで十分です。 まんま大量に入れると笑えない事態になるので注意です。
 そうそう、調味料も。定番の塩・コショウに始まり、カレー粉・ワサビ粉・粉末だし・唐辛子など香辛料と、可能性は無限大ですけど、ソース類は容器の重量と漏れ出たときのリスクからオススメしません。
 は、代用肉である大豆ミートを使うとよいです。 脂っこさというか肉の「食った感」はありませんが、味わいはよく再現できていると感じます。 比重もアルファ米と同等なので、調理の度に足すより始めからアルファ米に1〜2割ほど混ぜて持って行ってもいいでしょう。 どうしても食った感を出したいなら、背脂を別に持参して、熱湯で溶いた後に加えるとかですかね。

 これらを入れれば、フリーズドライとは思えないほど豪華にもなると思います。 ただまぁ、こういったことは、グループでやったほうが楽しい。 あらゆる乾燥スープと乾燥食材を適当に・大量に入れて、ガスストーブ&大鍋でグツグツやって皆で食べると本っ当に最高です。 二度と同じ味を再現できないのがまた良かったり。

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行動食(携行食)

 行動食(携行食・レーション)も、深く考えず持参している人が多いように思います。 調理不要で手でそのまま食べられることが前提ですけど、この点は皆さん押さえてあります。 軽量化装備とは言っても、登山は日常生活と比べれば結構なカロリーを消費することに変わりはありません。 少なく見積もってしまうとシャリバテ地獄が待っているわけで、テント泊で縦走する方々は『そんなに?』って量を持参すると思います。 さて、シャリバテを防ぐために、何を、どれだけ食べるか。

 メインの食事では穀物を摂っておけば間違いありませんが、行動中となると少し複雑に、一概にベストを挙げにくくなります。 個人の体質はもちろん、運動強度やペース配分でも必要なものが変わってくるからです。
 ただ、夏季の日本アルプス一般ルート縦走の場合、私が必ず混ぜるのがぶどう糖の結晶、ビーフジャーキー。 これらは行動食のメインではなく、1袋の中での割合はそれぞれ1割ほどです。残りの8割は、ナッツ類で4割、穀物系で4割といったところです。
 最近の傾向では、穀物系はフルーツグラノーラを選ぶことが多いです。 味や食感に優れ単価も安めですが、比重の関係かチャック袋の底に溜まるのが難点で、テント場に着いてから酒の肴になることが多いです。 ナッツは一粒が大きいため、こういうことは余り生じません。穀物系は歌舞伎揚げなどの煎餅でもよいのですが、嵩張るのが難点です。タマゴボーロは喉が渇く。

 飴、チョコや甘いジュースなど単純糖類で、即効性がありますが持続性に乏しく、安定性にも難があります。 休憩後の歩き出しや、岩場等ここ一発での瞬発・集中力が欲しい場面、遅効性の行動食がエネルギーに変わるまでの間繋ぎなどに向きます。
 マーブルチョコやm&m'sもパッキング次第で砕けてしまい、溶けてベタ付くため、チョコや飴玉はお勧めしません。 溶けて袋にこびり付いたら、それはゴミ(ベースウェイト換算)に早変わりです。 飴玉のように口の中で転がせ、体温では溶けないもの。お勧めはぶどう糖の結晶か、氷砂糖です。

 煎餅やクッキー、おにぎりなど穀物由来は遅効性ですが持続性があり、主だった行動食はこれらにするべきです。 絶えず即効性の単純糖類を食べていれば不要に思えますが、それだと登山行程に対して膨大な量が必要で血糖値コントロールが難しいです。 トレランのように継続的に運動強度の強いスタイルなら有効ですが、一般的な登山では極端な構成は不要でしょう。
 ⇒参考:炭水化物が多い食べ物
 私のパターンでは、一日の行動食の半分くらい(約50g)を炭水化物メインに割り振り、残り半分を単純糖類系・脂質系・たんぱく質系で構成しています。

 ナッツなど油分が多いものは、重さあたりのカロリーが最も高い食品です。 最強の高カロリー食は油そのものですが、常人の感覚ではこれを飲めるわけありません。 普通に食べられる中では、マカダミアナッツが100gあたり750kcalで最高だと思います。 次点はクルミで700kcal。ただしナッツ類は最も高分子の形で体内に蓄えられるので、エネルギーに変換されるまで時間が掛かります。 重さあたりで有利でも、正直言って登山での実効性は不明瞭です。 単純糖類とナッツ類で行動食を固めてしまうと、エネルギーへの分解が間に合わずにシャリバテになるように思えます。
 ⇒参考:脂質が多い食べ物

 忘れてはいけないのが、たんぱく質を多く含むもの。筋繊維を回復させるのに使われるため、連泊の登山では意識したほうがよいのです。 登山で現実的なのは乾燥物で料理不要・そのまま食べられること。 いくら高タンパク質だからと言っても、ゼラチン、ふかひれ、かつおぶしを行動食に混ぜるのは勇気がいります。
 すぐ思い付くところではビーフジャーキーですが味が濃いので、味付海苔や大豆ミートを併せましょう。
 ⇒参考:たんぱく質が多い食べ物

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昼食タイムを設けるか

 私は、単独行では昼食タイムを設けないことが多いです。早立早着が基本となる登山では、

・食事とその後の休憩で、1時間近くになるタイムロスを嫌うこと
・大休憩を取ると筋肉が冷えてしまい、歩き出しにくくなること
・ザックの中身を開けるのが面倒


 …などが理由に敬遠されることがあります。ゆっくり進む山行なら昼食タイムを設けてもよいと思いますが、途中にどんなアクシデントが待っているか分かりません。 「昼食タイムの所為で時間までに目的地へ着かなかった」では洒落になりませんし、それでなくても時間に押されて焦るのは危険です。
 …とはいえ、私は昼食タイムを設けることもあります。というかよく考えると、縦走の多くの日で昼食相当の休憩を取っています。 これは、その日の工程で計画した「昼食タイム」ではなく、予定より1時間ほど早いペースで来れたら、山小屋の売店でコーラでも飲もうというもの。臨機応変です。 ただ、軽い装備の所為か意識せずとも早く着いてしまうことが多く、山小屋で甘いジュースを飲んで休憩する点が、歩く上で相当プラスに働いているようです。
 ジュースは単純糖類なので吸収が早く、そこまでの疲れをある程度は回復できますし、歩き出しも楽になります。 また水分も合わせて摂っているので、行程上の水の消費量も大幅に減らせます。つまり持ち歩く水量を減らせるので、やはり軽量化に繋がります。

 まぁ、朝昼夕の食事をすべて山小屋ユーティリティで済ませば、笑ってしまうような軽量化をいとも簡単に実現できます。 とは言ってもテント泊縦走を好む方々からすれば邪道でしょうし、私も一切合切の食事を山小屋に依存するような真似はしません。 ジュースやビール、菓子くらいは買いますが、楽しむ趣味であって鍛練や修行でないのなら、あるものを活用するのは普通でしょう。 持参する行動食の量を少なく見積もってしまったときなど、経験はありませんが昼食を摂るのもいいでしょう。 なお当然ながら、自分でお湯を沸かして甘いコーヒーを飲むこともあります。

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持参する量は、1日1回分を意識して組み立てるのが重要

 主食や行動食に何を選ぶかも大切ですが、それよりもどれくらいの量を持参するかのほうが遥かに重要です。 実のところ、軽量化初心者の方は、手始めに装備よりも食料を削減するべきです。 登山から帰ってきて、予備食を除いても余っている食料はなかったでしょうか? 『不安だから多めに持参する』のでは、いつまで経っても余計な荷物を背負ったまま。パックウェイトは重いままです。 この状況を打開するには、1回分の食料を厳密に決めておくことが重要となります。 こうすることで、食べると思ったけど「結果に食べなかった = ただの荷物だった」ということは防ぎやすくなり、計画段階で余計な食料を持参してしまう危険も避けられます。
 ただ、持参する1日/1回あたりの食料の量は、体質や運動強度、歩く距離、時間で変わるので、一概に何gとは答えにくいです。 昼食を摂るかどうかでも変わります。ここは各人が経験から導き出してください。 私なら以下のように、アルファ米は1食あたり100gが基本です。これは軽量化後に夏季長期縦走を始めてから、変更を考えたことがありません。 一方で行動食は、一日あたり100gを基本としていますが、多くの場合で100gでは多いと感じるものの、 稀に100gでは足りないこともあるから悩ましいところです。

≪夏季 北アルプス 一般ルート縦走≫
一日の行動時間:休憩込で7時間〜10時間
メインの食事:一食あたり100gのアルファ化米&乾燥スープの雑炊もどき
行動食:一日あたり計100gのブドウ糖結晶、歌舞伎揚げ、ヘビースターラーメン、フルーツグラノーラ、ビーフジャーキー、マカダミアナッツなど。
昼食は食べない代わりに、山小屋に着くたびにジュースを買って休憩します。

 昼食にアルファ化米雑炊を食べていたときは、行動食は50〜60gで十分でした。 中身は、ブドウ糖結晶とナッツ類です。 また前述のとおり、山小屋での大休憩&ジュースがシャリバテ防止に貢献しているので、それらを利用できない状況では、単純糖類系と穀物由来糖類を増やすべきでしょう。
 実際に、軽量化後の装備で南アルプスを縦走したときは、山小屋の間隔が長く山域も大きいため、携行食が足りずにシャリバテになったことがあります。 特に茶臼岳〜百間洞の間は、聖平小屋のあとに営業小屋がなく、聖岳山頂から先が長くて大変でした。
 地形図から距離と積算標高差を出しておき、経験則から日毎の必要量まで計算して持参するのが、最も軽量に仕上がります。 でもこれは理想論であって、私はそこまで詰められていません。そもそも縦走中にルートを変更したり、行程途中のテント場で停泊を決めてしまうこともあるので、そこまでする意義が薄いのです。

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持ち運ぶときの形態

食糧自体は消耗品なのでベースウェイト計算には含まれません。 ただし、消耗品が故に必ず付きまとうのがパッケージで、「不要なものは持参しない」のが最も安く簡単な軽量化と分かっていても、その割に「不要なもの」に勘定しないで持参してしまう人が多いと思います。 山ではゴミは持ち帰るのが基本です。ごく稀にゴミ箱が備え付けられている山小屋もありますが、ゴミを持参する意味はありません。 何が何でも、持参するゴミは最小限に留めましょう。 ちなみに、重さを計ってみると、やはり馬鹿にできないもの。しかもベースウェイトに含まれます。以下に分かっているものを挙げておきます。
製品名/食品名 パッケージ重量 その他重量
カルビー じゃがりこ サラダ味 60g10g-
尾西食品 白飯200g11.4g脱酸素剤 2.7g
尾西食品 尾西の白飯スタンドパック8gスプーン・脱酸素剤 5g
サタケ マジックライス保存食「白飯」100g9g スプーン・脱酸素剤 3g 
日清 カップヌードルリフィル6g-
 と、まぁこんな感じです。 1つでは大したことがなくても、積もると意外にも重くなるのが分かるかと思います。 パッケージから取り出してそのまま持参できれば越したことはないのですが、そんなことは無理でしょう。
 ここで活躍するのが、ご存知チャック袋。大小様々なサイズが売られていて、水没を除けば完璧な防水性能を有し、単価も安くて入手性にも優れます。 食糧に限らず、チャック袋はパッキングにおいて是非活用したいアイテムです。

<パッキング@>
<パッキングA>
<パッキングB>


@〜B:まず乾燥スープは、パッケージから出して食品用ラップで包みます。
 乾燥スープ1つあたりのパッケージ重量は2gほど。包むときに使うラップは約0.5gなので、乾燥スープ1つあたり1.5gも軽量化できます。 食品用ラップは、幅15〜20cm程度のもので、これを15〜20cmほど引き出してカット。その大きさで十分に包むことができます。 包んだ段階で何のスープか分からなくなってしまいますが、軽量化に際して問題ではありません。どうしてもという方は、油性ペンでスープ名を書いておけばよいでしょう。
 ≫写真の9泊10分の乾燥スープ20個の場合、30gの軽量化に成功。

<パッキングC>
<パッキングD>
<パッキングE>
<パッキングF>


C〜D:アルファ化米も開封して、脱酸素剤を除いた米だけを大きなチャック袋にまとめます。
 脱酸素剤がないことに不安を覚える方もいるかもしれません。しかし生ものなら未だしも、元から密封・乾燥・滅菌された食品は、よほど雑に扱わない限り、まず以て痛みません。 クロネコヤマトの営業所留めで食料や燃料を送り、6泊7日の夏季縦走後に受け取って縦走を続ける計画を立てたことがありますが、後半の縦走の食料は痛む・腐る・臭うなどの問題は生じませんでした。 真夏でも、水分の少ない食材は二週間以上は大丈夫だと思います。また、煎餅やナッツなどは湿気ることもありますが、栄養価的に問題はありません。
 ≫写真の9泊10分のアルファ米200g×9個の場合、-126gからチャック袋42gを加えて、84gの軽量化

E〜F:ここで少し大きめの袋を選んでおき、アルファ化米に予め大豆ミートなどを混ぜておきます。
 追加する具材分のパッケージを省けます。管理者おすすめは「大豆ミート」です。比重がアルファ米と同等なためか、偏らずに混ざります。今のところ、これだけで十分です。 写真にあるように2013年夏季縦走では「大根葉とあみえび」ふりかけも混ぜましたが、正直言って蛇足でした。

<パッキングG>
<パッキングH>
<パッキングI>


G〜I:さらに、ラップに包んだ乾燥スープも一緒に入れてしまいましょう。
 メインの食糧はチャック袋ひとつで済むことになり、食べるほど容積も減ります。 縦走中に発生するゴミも、乾燥スープを包むのに使った食品用ラップだけです。 軽量なハードケースというものがないので意味のない話ですが、麺類のように折れたり割れたりするのを嫌がる食糧は、バックパックの中で省スペースという面でもデメリットが大きいと思います。


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登山用品の軽量化
執筆中


<このページの注意点>
 当ページおよび当コンテンツは、登山用品の軽量化について書かれています。 ただし私自身、登山はベテランでもない初級者であり、これらの情報を参考にするのは閲覧者様の自由ですが、必ず能動的に装備を選んだ上で行動して下さい。
 また、当コンテンツの趣旨や姿勢、対象としては、ごく初心者レベルかつ一般的な登山および道具の特性、その選び方を理解しているが、 そろそろ「自分なり」に向けて一歩踏み出したい方を対象にしており、やや派生した装備選択・スタイルのひとつとして「装備の軽量化」を勧めている、というものです。
 よって、私自身が「ごく一般的な登山装備の基礎知識」と判断したものは、コンテンツが冗長的になることを防ぐために、あえて割愛している部分も多々あります。これら初心者向けのウェブサイトは優れたものが沢山あるので、そちらを閲覧してください。

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