Ultra Light Hiking Goods
2014.6.17初掲載
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装備別:登山装備の軽量化 > 必需小物2:ヘッドランプとマップ・コンパス
このページでは、登山用品のうち、
細々とした必需品の軽量化について述べています。
装備の組み換えで劇的な軽量化が図れるのは、
宿泊・幕営用品(テント)と
調理器具・炊事用品、バックパックが代表格です。
でも、この後に述べるその他の登山用品も同様で、
これらの小物もバカにはできません。
これらも上手に道具・装備を選べば、1kgほどの軽量化に繋がってしまいます。
もくじ
・
ライター (メインの着火器具)
・
ファイヤスターター (サブの着火器具)
・
水筒・ハイドレーションリザーバー
・
ヘッドランプ(ヘッドライト)
・マップ・コンパス
・トレッキングストック・サポートポール
・ファーストエイドキット
・ギアリペアキット
ヘッドランプ(ヘッドライト)などの照明器具
ヘッドランプ(ヘッドライトは、正しくは車両の前照灯)は、登山必携アイテムのひとつ。
使う環境を明確に区別して選びましょう。やはり、シンプルな質問から。
『 夜間登山(ナイトハイク)しますか? 』
私はしません。幕営縦走のときだって、歩き始めるのは早くて5:00。夏なら十分に明るくなってます。
3:00にテント場を発つ方からすれば時間ロスでしょうけど、そういう姿勢なんです。
そもそも、目を閉じれば頭に浮かぶほど慣れたコースを持ってないため、夜間行動したら遭難しそうです。
ところで、「
ヘッドランプさえ持っていれば、日没後も行動できる」という勘違いが多いように思えます。
60ルーメン程度の
ヘッドランプ1個では、夜間の登山は無理があります。
コースの整備状況と慣れ具合によっては不可能とまで言えませんが、安全性を著しく損なう行動です。単独の夜間登山で万全を期すなら、
絶対に必要:120ルーメン超の遠方視認用タイプ(ブラックダイヤモンド:ストームなど)が1つ
コース整備や慣れ具合により:近距離広範囲タイプ(ペツル:ティカ+など)を同じバンドの脇に各1つ
少しでも不安なら:両手首と膝下にリール式の補助ランプ(ペツル:ジプカなど)を各1つ
…と
計7つくらい用意することに。もちろん、予備電池を2セットくらいの装備が欲しいところです。
上記の例は、
夜間に捕虫目的で山林に入る友人のもの。
踏み跡が一切ない藪の中を当てもなく散策する行為なので極例ですが、これでも日中の登山と比べると安全性は劣ります。
日没や日出の前ではない
本当の夜間に行動するには、一般に考えるより重装備が必要ということです。
<不慣れな未整備コースで夜間登山するときのヘッドランプ構成>
タイプ | 製品名 | 明るさ | 照射時間 | 公称重量(初期電池込み) |
遠距離用 | 【ペツル】ティカRXP | 150 lm | 2.5時間 | 115g |
中近距離用 | 【ペツル】ティカXP | 45 lm | 6時間 | 85g x2(上記の両脇) |
手元用 | 【ペツル】ジプカ | 20 lm | -時間 | 68g x2(両手首) |
足元用 | 【ペツル】ジプカ | 20 lm | -時間 | 68g x2(両ひざ) |
※アホくさい机上論ですが、8時間行動するとして予備電池が200gで、計760gくらい(笑)。
<ヘッドランプよこしま話>
LEDは発展途上の電子部品で、発売時期の新しさで性能が段違いになる点は気の留めておきましょう。
上表でペツルばかりなのは贔屓でなく、2014年時点で昇圧回路(CONSTANT LIGHTING@Petzl)を搭載し、輝度を維持したときの時間が分かる登山向けヘッドランプを揃えていたためです。
ブラックダイヤモンドも追従してくれると嬉しいです。あとは、双方とも下位モデルまでIPX7相当の防水になるとよいですね。
IPX4相当でも『濡れ=破損』ではないようですが、雨天・夜間・登山中に乾燥させるのは無理があるので、やはり欲しい性能です。
逆に、点滅とか赤色LEDとか充電可能とかは、要らない機能だと思います。
≪幕営装備があるなら、ビバークするほうが安全≫
普通の日中に登山する人は、いくら道迷いなどで日没までに目的地に辿り着けないリスクがあると言っても、ここまでの重装備が必要とは想定していないようです。
また、そもそも用意することに無理があります。
夜を迎えても行動することは、滑落と同じくらい致命的事態と認識し、絶対に避けたほうが賢明です。
テント泊縦走で不測の事態のときは、
その場で寝たほうが安全。日帰り登山でツェルトの持参が推奨されるのも分かります。
単なる時間経過の所為で夜を迎えたときは、なまじ心身ともに健全で行動できてしまうほうが返って危険で、道迷いや滑落に繋がりそうです。
私は好天候なら、おそらく設営すらせずにシュラフ・マットレス・カバーで就眠しそうです。幸いにも経験はありませんけど…。
≪とは言っても、やはりヘッドランプは必要だからして…≫
夜間登山しない・日没する前にビバークを選べるとしても、最低限の明かりは必要です。
小屋泊・テント泊のどちらだったとしても、明日の行程を確認・トイレに行く・夜間にガイラインの調整、ちょっと一服など、日没後に全くの無力になるわけにはいかないからです。
ただし、そのためのヘッドランプは先述とは対極に、本当に最低限でよいと考えています。
≪山小屋泊・テント泊・ビバークで必要最低限のヘッドランプ≫
で、私が縦走に持参するのがコレ。
ペツルのe+LITE(イーライト)。軽量小型なヘッドランプの定番中の定番です。
実測
25.5g(電池込み・リールタブを除く)。同クラスに、ブラックダイヤモンドのIon(イオン)や、モンベルのマイクロヘッドランプもありますが、
クライミング系メーカーが
緊急用と位置付けただけあって信頼性が一歩抜きん出ています。
特に気になるのが、大半の登山向けヘッドランプの多くが防滴(IPX4)までという事実。mm未満とはいえ隙間が確認できるものも多く、雨天時に不安があります。
イーライトの防水防塵等級は水没に耐えるIP67で、外気温耐性も冬季対応の-30〜+60℃、極め付けは仏国立産業環境危機研究所の「危険区域で使用可能な用具」お墨付き(笑)です。
明るさは電池交換直後で最大
26ルーメンとかなり低スペックです。
でも、テント場と山小屋をトイレ往復したり、夜にガイラインを調節したり、地図を見るくらいなら、十二分に用が足ります。20泊しても電池交換の必要も感じません。
むしろ、夜に積極的に歩かないなら、これ以上の何が必要なのか思い付かないほど。
巻き取りリール方式もほどほどに便利で、手首や指、膝下、ザックのベルト、ジッパータブ、トレッキングポールなど、固定する場所は発想次第です。
≪必要最低限のヘッドランプに、予備?≫
私は5泊以上の縦走のときでも、ヘッドランプはPetzlのe+LITEだけで予備を持参しません。それくらい信用していますし、それに足る性能があると思っています。
そう断ったうえで、あえて予備のライトを持参するなら、
アビタックスの0510 タグライトを挙げます。
実測で
3.9g(電池込み・キーリング除く)と十円玉より軽いです。
照射パターンと電池容量がまるで異なりますが、電池交換直後に照らした感じでは
イーライトと遜色ない明るさです。
電池がCR1220と少し特殊なのが難点です。こんなものでも、山小屋泊でトイレに行く程度なら十分。まぁ
スマホのライトでいいじゃないかって話にもなりますが…。
登山に予備日を設けられない、激しく時間をロスしても何としても下山しなければならない。
登山としては危険な前提でも、人によっては当然の制約でしょう。このときのヘッドランプ構成が
です。
なお、時間をロスしたけど、五体満足で現在地とコースが確認できた場合を想定しています。
これを満たさないなら、遭難中か、その入り口に居るので、社会的立場より優先するものがあります。
入下山口へのアプローチによって、備えて意味がある構成に差が出る。
マイカーで登山口まで来ているなら、ナイトハイク級のヘッドランプ構成にも意味がある。深夜だろうが車まで戻られるならよいからである。
一方でバスやロープウェイの最終を逃したら、山から脱出できないので翌朝まで無事に過ごすだけの明かりでよい。
代わりに、ビバーク対策を施してないと遭難の可能性が高まる。
最終を逃しても、駅まで林道を歩く手もある。ただし林道の長さによって現実的でないか、大量の予備バッテリーが必要である。
車が通れるほど整備された林道歩きなら、中級ヘッドランプ1つ+補助1つで問題なく歩けるはず。
よって、私自身が「ごく一般的な登山装備の基礎知識」と判断したものは、コンテンツが冗長的になることを防ぐために、あえて割愛している部分も多々あります。これら初心者向けのウェブサイトは優れたものが沢山あるので、そちらを閲覧してください。