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初めてのシュラフ選びは迷う
正直言うと、
私は寝袋の選び方を心得ていません。なお、封筒型とマミー型の違いとか、中綿のダウンと化繊の違いについては、理解しているものとして話を進めます。
また当コンテンツは登山用品の軽量化を主眼においているため、真夏だろうが、選ぶのは
ダウンシュラフを前提としています。
そもそもシュラフ選びは、ダウンやフリースのウェアと似ているところが有ります。
如何に最先端の軽量性を備えた素材を使って製品化したとしても、
暖かいものほど重くなるのが現実です。
またメーカーや製品ごとに軽量化に対する本気度も異なるため、
大して暖かくないゆえの軽さなのか、この暖かさにしては随分軽いほうなのか、判断が難しいのです。
まぁシュラフは
快適使用温度/限界使用温度の表示があるだけ、ウェアよりもマシなのかもしれません。
しかし、これまたメーカーを跨ぐと
設定基準が異なりますし、
今度は
個人差っていう最も面倒なものが出てくる上に、トドメは
慣れで体感温度が変わるとか言いますが。
対応温度、中綿品質(フィルパワーなど)、中綿量、ロフト(嵩張り)、および構造を、
世界一律基準で測定したものを表示してほしいものです。
これらの表示が揃った上で比べれば、メーカーや製品の軽量性、ダウンやロフトに対する考え方を明確に判断できます。
・
使用温度:シュラフの
総合性能を表す指標(目安)。
・
中綿品質:ダウンならフィルパワー。
重さに対する嵩張りを明確に表すが、暖かさの指標ではない。
・
中綿量:『ロフト(嵩張り) = 中綿品質 × 中綿量』の関係にある。
・
ロフト(嵩張り):構造や裁断で決定付けられる
暖かさの指標。
・
構造:他社品との差別化を図るセールスポイント。
キルト構造・首周りのチューブ・伸縮構造など。
上記のうち、5つの項目、特に中綿量とロフトを明記しているメーカーは極めて少ないと言えます。
項目で説明した通り、シュラフの暖かさの主な要因である
ロフト(嵩張り)は、『
中綿品質 × 中綿量』で決定します。
一定のロフトを求めたときに、軽くしたければ高いフィルパワーのダウンを用いて中綿量を減らすのが普通です。
逆に低いフィルパワーで中綿量を多くすると重くなりますが、多少の湿気では急激にロフトが減少しません。
また、一定の嵩張りを得たいときに、例えば800フィルパワーのダウンを用いると、封入するべきダウン量は自ずと決定するので、
ここには『
ロフト:フィルパワー:中綿量』の
黄金比が存在するはずなのですが、ウェブにはこの論議は見受けられません。これが私には残念で仕方ないです。
ちなみに私のチョイスは、
王道かつ鉄板と思われる
モンベルのU.L.スパイラルダウンハガー。
選択の理由は何らウルトラライト的ではなく、とりあえず軽そうで定評があり、無難で安く入手性が良いといったものです。
3シーズンなので夏季の高山帯では#5を、春・秋は#3を使っています。
イスカやナンガも使ってみたいと思いますけど、財布と要相談なのと、前述の理由から
性能:軽量比で購入に踏み切るだけの決定打がないのが現状です。
などと間誤付いていたら、モンベルから新シリーズ、ダウンハガー900が発売されましたね。#5で公称400gを切ってきました。
初めて行く環境では、どのランクのシュラフを用意すべきなのか迷います。
軽量化を重視するなら、
衣類はすべて着たうえでシュラフに入るのが鉄則です。
寝ているときに、予備一式とレインウェア以外に
衣類が余っているようでは、携行するウェアが多いか、シュラフのランクが高いと言わざるを得ません。
初めての山域・季節でも、シュラフはウェアとの兼ね合いがあることを考慮しましょう。下着だけでは寒いけど、すべて着ていると暑いと思えるシュラフを選び、ウェアをやや多めに持参すれば無難です。
もちろん軽量化を突き詰めるなら、全着用のときに過不足なく暖かく寝られるように、経験から微調整していきます。
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ダウンシュラフとシュラフカバー
ULシェルターにダウンシュラフを使うなら、何らかの
カバーは必須装備としたいところです。
小型タープと組み合わせるなら、カバーそのものがシェルターを構成しているため、当然ですが必携です。
それ以外でも、密閉構造を作りにくいフロアレスや中型タープでは、多少ですが
シェルター内を風が吹き抜けるため、シュラフ(寝ている自分)を守るためにカバー等が欲しいところです。
この問題が生じないシェルターやテントでは、今度は
機密性ゆえに結露が発生します。
このようにダウンシュラフを使うときは、必ずしも「
製品レベルの袋状カバーでなくてはならない」と言えなくても、
風・結露・寝汗からシュラフを守るため、何らかの対策が必要となります。
そして、当然ながら体温と外気温の差が激しい季節・場所ほど、この必要性は増します。ここで、下表を見てください。
<シュラフの種類とシュラフカバーの重さの比較>
製 品 名 | 公称重量 | 備 考 |
mont-bell アルパインダウンハガー800 #7 | 400g | ダウン |
mont-bell アルパインバロウバッグ#7 | 700g | 化繊 |
mont-bell ダウンハガー900 #5 | 387g | ダウン |
mont-bell アルパインダウンハガー800 #5 | 430g | ダウン |
mont-bell アルパインバロウバッグ#5 | 838g | 化繊 |
mont-bell ダウンハガー900 #3 | 540g | ダウン |
mont-bell アルパインダウンハガー800 #3 | 570g | ダウン |
mont-bell アルパインバロウバッグ#3 | 1,012g | 化繊 |
mont-bell B.D U.L.スリーピングバッグカバー | 180g | B.D 2レイヤー |
mont-bell U.L.スリーピングバッグカバー | 225g | GTX 2レイヤー |
mont-bell B.D サイドジップスリーピングバッグカバー | 405g | B.D 3レイヤー |
※B.D:ブリーズドライテック、GTX:ゴアテックス
細かい違いの製品を網羅しているため、モンベルを参考にさせていただきました。
この表で興味深いのが、一番低い保温性能である#7でさえ、ダウンと化繊の
重量差が300g、#3では472gもあること。
そして同様に、シュラフカバーの
2レイヤーと3レイヤーでは225gも差があることです。
なお
化繊シュラフなら、結露対策の意味ではカバー不要と考えることもできますが、
ダウンシュラフ+シュラフカバーのほうが重量面では軽いです。
目下のところ、軽量化目的でダウンシュラフと組み合わせなら、
2レイヤーの防水透湿性、ないし防水通気性のシュラフカバーが最高の選択と思われます。
逆に
3レイヤーのものは、
単体使用可能で保温性に優れ、製品の保ちがよいといった特色がありますが、はっきりいって要らない機能です。
なぜなら、2レイヤーとの重量差は150g以上と推察されるので、保温性を向上したいならシュラフをワンランク上にしたほうが、遥かに効果的で軽く済むためです。
単体での使用は、長期縦走中に平地で幕営するなら一考に値する製品だと思いますが、私の想定する登山行程にはありません。
ちなみに「
3レイヤーなら、真夏の低地でも単体使用できる」という考え方で装備を構成すると、
ベースウェイトはどんどん重くなります。
で、私はモンベルの
ブリーズドライテックU.L.スリーピングバッグカバーを使っています。
大概のカバーが3レイヤーで400g程度なのに対して、これは
2レイヤーで180g。
また、寝汗によるダウンのロフト減少を緩和しやすい
防水通気性なのも特徴です。
なおジッパーもない、言ってしまえば
ただの長細い防水スタッフバッグなので、
出入りが不便なのは事実。
ただ、そもそも出入りの機会は少ないし、ここの開き具合で何かを調節することもありません。
一方で、2レイヤーのシュラフカバーすら持参しないのが、最も軽く済むことをお忘れなく。
袋状のシュラフカバーを用いるのが、外側からの濡れに対して最も完璧なプロテクションです。
しかしここで、『
果たして、そこまでの鉄壁さが必要か』、自分のシェルター構造とよく照らし合わせてみましょう。
簡易的な方法としては、シュラフの上からレインジャケットを掛けるという手もあります。
レインジャケットのファスナーは閉じて、フードにつま先を入れるのがベスト。
上半身については、撥水のウインドジャケットを被せておけば、大概の水滴は防げます。
これ以外にも、タイベックやアルミ蒸着の
シートを上から掛けるだけとか、0〜180gの間で実践できることは沢山あるはずです。
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<このページの注意点>
当ページおよび当コンテンツは、
登山用品の軽量化について書かれています。
ただし私自身、
登山はベテランでもない初級者であり、これらの情報を参考にするのは閲覧者様の自由ですが、
必ず能動的に装備を選んだ上で行動して下さい。
また、当コンテンツの趣旨や姿勢、対象としては、ごく初心者レベルかつ一般的な登山および道具の特性、その選び方を理解しているが、
そろそろ
「自分なり」に向けて一歩踏み出したい方を対象にしており、やや派生した装備選択・スタイルのひとつとして「装備の軽量化」を勧めている、というものです。
よって、私自身が「ごく一般的な登山装備の基礎知識」と判断したものは、コンテンツが冗長的になることを防ぐために、あえて割愛している部分も多々あります。これら初心者向けのウェブサイトは優れたものが沢山あるので、そちらを閲覧してください。